第87話:罪と報いと、精神と労働
「やるなら、徹底的にやりましょう。」
その日、政庁の法制局にバレルの声が響いた。
対象は――“刑罰制度”。
【刑罰改正法案:更生と責任の両立】
・終身刑の呼称を『一生労働刑』に変更(刑務所作業義務化・報酬無し)
・懲役刑を『強制労働○年』へ再定義(内容明記・強制実働義務)
・服役者の社会貢献記録を可視化、一定年数後に段階的緩和可能
・暴力・性加害犯罪に対しては“公開作業義務”の導入
「名前って、意外と効くんですよね。」
一生労働刑――文字通り“死ぬまで働け”という重圧。
強制労働○年――自由な労働ではない、“課せられた”労苦。
犯罪者への過剰な贖罪ではなく、 社会への明確な“責任”を課す制度。
「もちろん、やり直しの道は残します。 でも、罪を犯したその手が何を生むか、まずは見せてもらいます。」
庁内はどこか背筋が伸びる空気に包まれていた。
「罰は痛みじゃない。“責任”の感覚そのものです。」
この日から魔界の刑罰は、“放り込む”から“使い切る”へと変わっていった。
バレルの銃尾はこの日も火を噴かず、 代わりにペンが鋭く走っていた。




