第80話:拳と拳で語る会議
「うん、そろそろみんな、ストレス溜まってますよね。」
バレルが政庁でぽつりと漏らしたそのひと言。
数日後、魔王サタンの号令により、世界規模の“武道大会”が開催される運びとなった。
【大会概要】
・名称:「第1回 魔界武技大競演」
・主催:魔王サタン
・目的:種族間交流・ストレス発散・技術研鑽・外交の柔軟化
・競技種目:素手、武器、魔法、道具使用混合戦(ただし殺傷は禁止)
・特別枠:外交官対抗戦、護衛官技比べ、政務官柔軟性選手権(?)など
「オリンピックの魔界版、ですね。血の匂いは少なめでお願いします。」
観客席はすでに満席、魔導通信で全世界へライブ配信されるという豪華仕様。
バレルはというと……
「はい、参加です。」
「えっ。」
「サタン様が、勝手に出場登録してました。いや、誰か止めてくださいよ。」
案の定、会場の中央に立たされるバレル。
相手はかつて“戦争請負人”と呼ばれた元将軍で、全身筋肉の塊。
「殺さなきゃいいんでしょ? 優しくしますよ。」
……結果。
バレルが一歩も動かずに勝利したことは、後に“演算式防衛射撃”として学会に登録された。
「拳で語るの、けっこう楽しいですね。」
政も武も、時にユーモアと娯楽が必要。
銃尾は今日も平和の象徴として、戦場で煙をあげていた。




