第8話:芽吹く未来と、次なる問い
季節が一つ巡った頃、町には確かな変化が現れ始めていた。
混血の少年少女たちが学校に通い始め、純血の教師と共に混血の教師も講壇に立つ。
「教える力は血筋に宿るわけじゃない。学びたいという心だ。」
そう語るのは、元魔界大学の首席卒業者でありながら、混血という理由で就職先を奪われていた青年――ライザ。
医療の分野でも同様だ。
複数の混血医師が町の診療所に雇われ、今まで見捨てられていた病に挑んでいた。
「混血の魔力は複合的で、従来の治療に新しい視点を与えてくれる。」
そう評価したのは、かつてバレルを「子どもの遊び」と一蹴した改革派の古参議員だった。
実力は、ゆっくりと壁を壊す。
そしてそれに伴い、バレルのもとに新たな“パトロン”たちが現れ始めた。
資産家、魔導研究者、元貴族の女性など、それぞれが混血の立場から社会を動かす意志を示し始めていた。
―――
その頃、議会には新たな議題が浮上していた。
『混血と純血の婚姻に関する規制緩和』
魔界において、婚姻は“血”の純潔を守るための手段とされてきた。
だが今、教育と医療の均衡が生まれたことで、社会制度全体が問い直されようとしていたのだ。
「混血と純血の結びつきが進めば、もはや“区別”の意味は薄れる。」
「だが一方で、伝統の象徴としての家門が崩壊しかねない。」
議場は荒れた。
バレルは、まだ何も発言しない。
静かに、慎重に、状況を見定めていた。
「焦る必要はない。だが逃げてもいけない。」
その瞳は、再び新たな“風”を起こす日を見据えていた。




