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第73話:癒えぬ傷に、手を伸ばす政
「身体もだけど、心も壊れることがありますから。」
バレルが語るのは、“傷病手当制度”の創設だった。
これまで魔界では、怪我や病気で働けなくなった者が、支援の網から零れ落ちていた。
「特に、見えない傷――心のダメージには、誰も気づいてくれない。」
【制度の要点】
・傷病手当の自動申請支援と簡略化
・心の健康支援専門省庁とカウンセラーの常設
・療養期間中の生活保障と医療費補助
・治癒後の段階的復職プログラムと職場マッチング
「“働けるようになるまで支える”っていうのは、政の責任です。」
回復した者が新たな職場に迎えられるための“再就労型雇用制度”も導入された。
「誰かの苦しみに、“仕方ない”って言わない社会でありたいんです。」
支援を受けたある者は、
「……誰にも必要とされないと思ってた。でも、“待ってる職場がある”って言われたんです。」
そう話し、涙を浮かべた。
バレルはその背中を見送りながら言う。
「今度は“あなた”が、誰かの役に立てばいい。」
今日もまた、政は声なき声に寄り添い、支え続けていた。




