第67話:敵も、後輩も、未来の担い手
選挙は終わった。
……勝ってしまった。
「辞められなかったなあ」と肩を落とすバレル。
だが、その表情に曇りはなかった。
「でもね、俺を“辞めさせようとした”君たち……その勇気、俺は評価する。」
選挙で声を上げ、政策論をぶつけ、時に牙を剥いた若き候補者たち。
中には本気で政変を狙い、準備を重ねてきた者もいた。
バレルは彼らを一人ひとり呼び出した。
「君、大臣やらない?」
「君は、魔王候補だな。」
「えっ、敵対してましたよ!?」
「選挙でぶつかったのに!?」
「声を上げるって、すごいことなんです。誰かの“こうあるべき”を言える人は、未来を担える。」
推薦された者たちは驚きながらも、やがて誇らしげにうなずいた。
「じゃあ、次こそ本気で倒しますよ。」
「それでいい。全力で受けて立つ。」
政庁には新たな顔ぶれが増えた。
若く、情熱的で、時に反抗的な面々。
でも、その全員が“未来を変えたい”という意志を持っていた。
バレルはそっと笑う。
「次の魔界を作るのは、こういう奴らだ。」
そして今日も、銃尾を磨きながら考える。
――その時、俺は前に立つ必要があるか?
……いや、横でいい。
未来は、育ってきている。




