第66話:選挙演説、それは戦場
「ええ、選挙です。引退したいんで。」
突然の記者会見。
バレルは飄々とそう言い放った。
「次の世代に託すために、民意を改めて確認します。」
……が。
選挙戦が始まるや否や、街は騒然となった。
「演説会場に、暗殺者!」
「こっちは刺客三人目です!」
バレルは言う。
「演説は“心を撃つ”行為です。実弾はお控えください。」
そう言いつつ、銃尾が次々と火を吹く。
――狙撃を防ぎ、刃を弾き、投擲を迎撃。
「やれやれ……暗殺も減ったと思ってたのに。」
演説内容はまっとうだった。
「私はもう、十分すぎるほど働きました。今、魔界は民が声を上げ、若者が立ち、制度が根付いています。」
「だからこそ、私の役目は終わり……。」
バァン!!!
「……って言ってるそばから撃つな!!!!」
観客は爆笑し、拍手し、支持率は天井を突き抜けた。
「バレル様が一番安心!」
「辞めたら魔界が不安定になる!」
結果、暗殺者を十人以上退けた“選挙演説ツアー”は、 支持率98%という脅威の数字で幕を閉じた。
「……辞めたい。」
「やめさせてもらえないだろうなぁ……。」
銃尾は今日も、声と命を守っていた。




