第65話:命の長さに、政が寄り添う
「同じ“年齢”でも、感じ方は違いますよね?」
ある日の会議室。
バレルが取り出したのは、種族ごとの平均寿命表だった。
「魔界には寿命が十数年の種族もいれば、千年以上生きる種族もいます。」
にも関わらず、制度の多くは“人間基準”の名残を引きずっていた。
そこで新たに検討されたのが、
“種族別年齢換算制度”と“多段階年金・退職金制度”。
【施策の柱】
・寿命比率に応じた早期退職支給の設計
・年金生活を複数回行える分割型制度の導入
・短命種族への遺族年金強化と相互扶助ネットワークの創設
「例えば、寿命が40年の種族にとって、“65歳から年金”なんて、そもそも無意味です。」
「1000年生きるやつが80歳で定年も、ただの早期引退です。」
制度案には、各種族の代表から喜びと共に、複雑な感情も寄せられた。
「ようやく……“生き方”を認められた気がします。」
「俺たち、ずっと“異常”って言われ続けてきた。」
バレルは静かに答える。
「命に“普通”なんて、あるもんか。」
「長くても短くても、価値がある。“同じように扱う”んじゃなく、“等しく尊重する”んです。」
魔界にまた一つ、優しい制度が根付いた。
今日も銃尾は撃たれず、しかし確かに、誰かの時間を守っていた。




