第6話:脅しは通じぬ、逆に通せ
教育平等法案の草案が提出されたその夜、屋敷の郵便受けに黒い封筒が差し込まれた。
開けると中には、一枚の手紙と、切り取られた動物の爪。
『混血に教育を与えるな。貴様が法を通せば、次はお前の“尾”が落ちる』
使用人が蒼白になる中、バレルは手紙を二つに折り、火鉢に投げ込んだ。
「尾なら、もう銃にしてある。落ちたところで弾丸の雨をくれてやるだけだ。」
だがそれだけでは終わらない。
議場の控室にも、“魔石でできた毒酒”“議席封鎖の予告状”“バレルに似せた藁人形”など、様々な圧力と脅しが舞い込んだ。
それでもバレルは笑う。
「脅迫は、恐れた者に効く武器。だが恐れなければ――証拠として使える。」
魔導紙《マ=リレイ通信》のメイリに、全ての脅迫状を提供し、記事にしてもらった。
『混血教育法を阻む者たち――脅迫に屈しない若き政治家バレル』
反響は凄まじかった。
「こんなことが、議会で許されているのか!?」
「我々が守るべきは“脅す力”ではなく、“学ぶ権利”だろう!」
魔界の各地で小さな集会が開かれ、支援の声が寄せられる。
「見たか? 君の“尾”は撃たずとも強い。」
シェイランが頷き、杖をついた。
「暴力で法は潰せない。だが、法は暴力を潰せる。」
そして議決の日。
バレルは堂々と議場に立ち、最後の演説を放つ。
「子どもたちに教えるべきは、“誰を恐れるか”ではない。“何を信じるか”です。」
圧倒的な拍手の中、“混血への教育平等法”は可決された。
それはバレルにとって、政治家としての“勝利”ではなく――民としての“当然”だった。




