第55話:意見と襲撃と、銃尾の矜持
「さて、次は“声”を吸い上げましょう。」
そう言って、バレルは全国意見聴取巡回制度を始動。
各地方に出向き、町民や有識者、労働者や学生たちの声を直接聞く“政治ツアー”が始まった。
「現場で起きてることは、現場でしかわかりませんからね。」
議事テント、移動庁舎、即日記録の魔導インターフェース。
各地からは喜びと期待、そして不満も寄せられた。
「税は納めてますが、街灯が一つもないんです。」
「休憩時間の規定、現場ではまだ守られていません。」
バレルは丁寧に頷き、全てを記録。
「すぐにとは言えませんが、必ず届けます。」
しかし、その最中。
「……やっぱり来ましたね。」
巡回先の一つで、純血至上主義の残党による襲撃が発生。
けれども――
「はい、ではここで銃尾ターン。反転して……はい、蜂の巣。」
わずか数秒で制圧。
その場の市民から拍手と歓声が上がった。
「町長、相変わらず強すぎる……。」
「いやもう、総理ですよ。うちの総理、最強なんです。」
襲撃後も予定通り意見聴取を続ける姿に、各地で信頼が深まっていく。
「どんな声も拾う。その覚悟があるなら、銃尾くらい撃って当然です。」
政治とは、“耳を傾ける強さ”でもある。
そして今日も、バレルの銃尾は沈黙の声を響かせていた。




