第54話:嫌われる覚悟、担う覚悟
「税率、見直しましょうか。」
その言葉に、政庁内の空気が一瞬止まった。
「……ついに来ましたか、総理。」
「ええ。避けては通れない問題ですから。」
バレルが着手したのは、魔界全体の税制改革。
成長し続ける社会保障・教育・インフラ維持のため、 持続可能な財政の構築が急務となっていた。
「まずは、段階的な所得税の調整。そして贅沢品に対する課税強化。」
「一方で、生活必需品と中小業者の税負担は軽減します。」
案が公表されると、案の定、批判と混乱が巻き起こった。
「何に使われているかわからない金を取られるのか!」
「贅沢って、どこからが贅沢なんだ!」
バレルは一つひとつ答える。
「用途はすべて公開。報告も義務付けます。政治が見えることで、信頼を得るんです」
「贅沢品の定義も公開基準化します。曖昧なまま搾取はしません。」
それでも、全てが納得されるわけではない。
「政治とは、時に嫌われる役割を担うことです。」
「でも、ちゃんと伝えて、説明して、理解される努力を怠らなければ……信頼には変えられると信じてます。」
数ヶ月後、税収は安定し、福祉支出の透明性も向上。
「反感を買うのは慣れてます。でも、ちゃんと働いてますから。」
今日も、銃尾のサインは、未来への覚悟を刻んでいた。




