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第49話:誰にも還る場所を
変革の波が魔界を包み込む一方、忘れ去られていた存在もあった。
それは、差別と偏見に晒され、誰にも看取られず、名も告げられぬまま息絶えた混血の魔族たち。
彼らの遺体は、あちこちの辺境に打ち捨てられていた。
「こんな最期が、許されてたまるか。」
バレルは自ら動いた。
使節団の名を借りて、各地の遺骨を回収。
その傍らでは、静かに共同墓地“無名の丘”の建設が進められていた。
「名前がわからなくても、ここに還る場所がある。それだけで救われる魂もあるはずだ。」
丘は草木に覆われ、静けさの中に鐘の音が響いた。
開墓式の日、バレルは黒い礼服のまま、静かに頭を垂れた。
「今さら遅いかもしれません。でも、これが俺の贖罪です。」
彼の尾には、一本の花が括られていた。
「願わくば……今、生きている子たちが、ここに還ることがありませんように。」
その日、丘の風は優しかった。
魂たちは静かに、バレルの町へと還っていった。




