第46話:生きることに“選択肢”を
「家ができたら、次は中身です。」
そう言ってバレルが提示したのは、二つの新制度だった。
一つは、“最低生存支援金制度”。
職のない者、働けない者に対して、生活を維持するための最低限の資金を提供する政策だ。
「生きるだけで精一杯な状態を、政治が放っておくなんておかしいでしょう?」
もう一つは、“就学・教育支援制度”。
お金がなく学校に通えない子どもたちへの学費支援と、地域に教育の場を整備する取り組みだ。
「才能も学びも、環境で潰してはいけません。」
補佐官の一人が問う。
「しかし、それだけの資金を、どうやって……。」
バレルはにやりと笑って答える。
「財布です。いくらでも出します。だって“未来”を買うんですから。」
制度導入に合わせて、各地の“共住庵”に学習室と就学支援窓口が併設された。
読み書き、計算、魔術基礎から始まり、実技職人訓練、行政補助員の育成など多岐に渡る講座が開講。
中には、かつて支援金を受けて育った者が、講師として戻ってくるケースも出てきた。
「僕に読み書きを教えてくれた制度に、今度は僕が教える側として関わりたいんです。」
制度の歯車は、ゆっくりと、しかし確かに回り始めた。
「誰かが生きるだけで苦しまない社会。それが俺の理想です。」
今日も、銃尾が掴むのは引き金ではなく、明日へ伸びる“選択肢”だった。




