第45話:屋根の下に、明日を育てる
「よし、次は住居です!」
いつものように、唐突なバレルの宣言に補佐官たちは驚いた。
「ま、まさか、町長が自分で建てるとか――。」
「冗談です。さすがに尾で家を建てるのは無理があります。」
とはいえ、住居不足は深刻な問題だった。
貧民街の路地裏、戦災で崩れた家々、そして帰る場所を失った者たち。
「働き口があっても、眠れる場所がないと続かない。」
そこで設立されたのが、“共住庵”――
通称“孤独院”。
孤児も、老人も、傷を負った者も、種族も混血も問わず、誰でも受け入れる新たな住居複合施設だ。
「共に住み、共に暮らし、明日を育てる場所です。」
魔力構造材を用いた高速建築で、数ヶ月で複数の庵が完成。
各棟には共同キッチン、訓練室、就労支援窓口が設けられ、暮らしから仕事へと自然に繋がる導線が整えられた。
「誰かが隣にいるだけで、夜は少し安心できますね。」
「明日は何しようか、って話す相手がいるだけで、生きる気力が変わるんです。」
バレルも現地を訪れ、自ら尾でベッドメイクの真似事を披露。
「やってみたかったんですよね、大工の仕事ごっこ。」
笑い声の中、住まいは育ち、暮らしが根付く。
「屋根の下があるだけで、人って変わるんですよ。」
今日も財布の紐は緩みっぱなし。
銃尾は今、屋根を張り、明日を守っている。




