第43話:銃尾で鍋をかき混ぜる日
「次の資金投入先は?」
補佐官が問うと、バレルはにっこり笑った。
「食です。腹が減っては遊びも戦もできませんからね。」
そして始まったのが、“銃尾炊き出し行脚”。
バレルは連盟内の各地に移動し、まずは同盟国ベルトーラの貧民街で大鍋をふるった。
「これ、混ぜてるの尾じゃないですか!?」
「ええ、耐熱性と撹拌力は抜群ですよ。」
魔力で調理された香り豊かな料理に、子どもたちの歓声が上がる。
次に訪れたのは中立国ファルメリア。
「ただの施しではありません。自立支援の第一歩としての“栄養共有”です。」
この言葉に、文化人や記者たちが動き、支援活動は一気に話題となった。
そして極めつけは、敵国レグルスの外縁部。
「……マジで来たぞ、バレルが……。」
尾で鍋をかき混ぜながら、貧民にスープを配る姿は、ある意味で衝撃的だった。
「敵?ああ、関係ないです。腹が減ってるなら、まずはそれを満たすのが筋でしょう。」
更に、空き地には魔力耕作用の大型機材が投入され、簡易農地が整備された。
「放棄地は資源です。育てて、食べて、分け合う。どの国でもそれは変わらない。」
銃尾は、今や鍋をかき混ぜ、畑を耕し、命を育てる力となった。
政庁には、新たな依頼書が届いていた。
《農業指導要請》
バレルは、また財布の紐を緩めながら、静かに言った。
「楽しいぞ、これ……次は、何を育てようか。」




