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第42話:黙らせに来たのなら、黙らせて差し上げましょう
警告なし、宣戦布告もなし。
レグルス武帝国の精鋭部隊が、突如としてバレルの町を襲撃した。
その報せに、政庁の空気が凍った。
だが、バレルは銃尾を静かに起動しながら言った。
「遊びに来たってんなら、おもちゃで遊んで帰れ。ただし……。」
「壊す側じゃなく、壊される側だけどな。」
夜空を駆ける銃声。跳弾する魔力。
異形の兵器がいくつも放たれるが、すべて“尾”が迎撃し、破砕し、消し飛ばす。
「隊長ォ!弾が全部撃ち落とされてる!」
「動いてねぇ……あいつ、一歩も動いてねぇぞ!」
バレルは戦場の中心で、文字通り一歩も動かずにすべてを迎撃した。
「言葉で通じない相手には、沈黙を贈るのが礼儀ってもんです。」
三時間後、戦場には敵影はなかった。
町に被害は皆無、負傷者ゼロ。
勝利。
後日、評議会でサタン魔王が腹を抱えて笑っていた。
「まさか本当に一歩も動かず勝つとは……!バレル、お前という奴は……あっはっはっはっ!!」
後始末は――関係各国に丸投げされた。
バレルは報告書にただ一行、こう記した。
《自衛完了。現場は清掃済。問題なし》
そして今日も、政庁には新しい玩具の見本が届いていた。




