第40話:笑いと歌は、壁をも溶かす
「娯楽を享受できるのは、心に余裕があるから。」
評議会での発言に、誰もが一瞬、口をつぐんだ。
バレルは続ける。
「文化を“武器”にしたくない。共有することで、遊びの価値観を広げていきましょう。」
その提案を受けて、連盟主導で“魔界文化交流祭”が開催される運びとなった。
会場はかつて対立色の強かったファルメリア国の古都――
その場には、さまざまな芸術品や玩具、魔劇、そして民芸が集まり、笑いと驚きに包まれていた。
「わ、これすごい!尾で操縦するパペット劇!」
「この楽器……魔力で音が揺らぐのか!」
特に目を引いたのは、バレルが支援した若き音楽魔術師・リンリ。
混血の孤児でありながら、文化基金の支援で音と魔力を融合させた“響術”を確立し、初の公演を成功させた。
「魔力で心を揺らす……これが、俺の銃尾です。」
その旋律は、観客の頬を濡らした。
芸術は武器でなく、癒しであり、橋となる。
各国でこの祭の映像が報じられ、思わぬ場所からも声が届いた。
「我が国でも開催できないか?」
「うちの町にも、この演劇団を……。」
バレルは報告書を見て、そっと頷いた。
「争うばかりが外交じゃない。笑わせること、泣かせること、響かせること――全部、立派な“政治”です。」
価値観は変わり始めていた。
文化が、魔界全土に“余裕”という名の未来を芽吹かせていく。




