第4話:師と出会い、旗を掲げる
中央政界には派閥がうごめいていた。
保守派はバレルを「利用できる若造」と見なし、改革派は「看板として使える混血」と囁く。
そんな中、最も場違いとも思われる一派が、バレルの元に現れた。
「やぁやぁ、若いの。いい風を起こしてくれたのぅ。」
しゃがれ声で話しかけてきたのは、ボロボロのマントを羽織った小柄な老人だった。
「……どちら様ですか?」
「ワシか?『魔権派』の筆頭、シェイラン・マード。君に名乗るには少しばかり時代遅れかもしれんがね。」
魔権派――あらゆる魔族に生存権と表現の自由を保障すべきという、弱小にして風前の灯とされる派閥である。
「ほう、君の尾は銃か。いいねぇ、若いってのは面白い。」
「……俺に何を?」
「ワシの弟子にならんかね?とはいえ、教えることなんぞない。むしろ一緒に世の中をひっかきまわしてほしいのじゃ。」
バレルは静かに考え、やがて頷いた。
「……“国民のために”働きたいだけです。利用される気はありません。」
「ほっほっほ、いい子じゃ。そういうのが一番利用しがいがある。」
シェイランは笑い、杖を鳴らした。
―――
次の議題――「混血に対する居住制限案」
保守派は伝統を理由に、改革派は治安悪化を口実に、どちらも法案に賛同する空気を作っていた。
バレルは真っ向から反対に立つ。
「制限する前に、“どうして争いが起きるか”を議論すべきです。」
「理想論だ!」
「混血は危険だ!」
声が飛ぶ中、バレルは一歩も引かない。
「危険なのは偏見と無理解です。それを煽る法律が、どれほどの分断を生むか……ご存じで?」
議場が静まり返った。
その後、議案は否決。
バレルは保守派、改革派、両方から煙たがられる存在となった。
だが、魔界の庶民たちは密かに囁き始めていた。
「混血でも、俺たちの声を届けてくれる者がいる。」
「バレル議員って、本当に撃たずに戦うのか?」
彼の名が広がるたびに、小さな希望が芽吹いていった。




