第38話:芸術は銃よりも自由に、財布よりも軽やかに
「文化予算が余ってる?よし、ばら撒こう!」
朝の政務会議、バレルの第一声に補佐官たちは凍りついた。
「ま、町長、ばら撒くって、どういう……。」
「文字通りです。芸術家に無審査で資金提供!音楽家、画家、踊り子、魔劇師、全員まとめて支援します!」
「滅茶苦茶だああああ!」
だが、すでに申請窓口には、芸術家の行列ができていた。
「新作の魔劇『尾のある議長』をどうか……!」
「異種間恋愛のオペラです!主演は尻尾だけで演技します!」
「どうしてそうなった!?」と叫びつつも、バレルは懐から金貨袋を投げた。
「面白ければそれでいい!演目次第で予算倍増!」
こうして設立されたのが、“バレル式創作支援基金”。通称「銃尾アーツ」だった。
町中には奇抜な壁画、シュールな詩の朗読、鳴り響く異音系ジャズ、そして意味不明な空間演出が溢れ始める。
「……なんで家の前に巨大な銃尾の像が……?」
「知らん、芸術だそうだ。」
だが、それが逆に観光資源となり、他国からの観光客が爆増。
「この町、なんだか“おかしくて面白い”って評判です。」
政庁前の野外ステージでは、演者が叫ぶ。
「これが我々の生き様だ!バレル様の財布からの魂だ!」
バレルは椅子に深く座り、財布をさらに開けながら呟いた。
「散財は文化のはじまりです。異論は受け付けません。」
文化は花開き、町は笑いと混乱と創造に包まれていった。




