第37話:変革の実り、揺らぐ否定の壁
エルクドミール王国での矯正改革から一ヶ月。
混血・純血を隔てない訓練体制のもと、新たに認定された技術士や管理士が続々と登用されていた。
かつて差別に苦しんでいた混血の若者が、堂々と役職に就き、純血の部下を指導する姿も現れた。
「混血にこんな精密制御ができるなんて……。」
「いや、実力を見れば、誰でも分かるだろ。」
民の意識も、少しずつ変わりはじめていた。
王国の新聞にはこう記された。
《バレル式、偽物から“本物”へ》
その報は他国へと波及する。
バレルのもとには、慎重派だったナゴス連邦からも連絡が入った。
「制度導入の是非について、連邦議会が前向きに検討中とのことです。」
一方で、最後まで敵意を崩さなかったレグルス武帝国にも変化が――
「最近、軍事訓練に“意見交換の時間”が導入されたらしい。」
「……え?あそこが?」
バレルは笑った。
「それはいい。じゃあ今度、飛び入りで意見出しに行こうかな。」
否定は揺らぎ、壁は軋む。
やがて、倒れるその日まで。
バレル式――民の声を礎とする政治モデルは、魔界全土に“認めざるを得ない現実”として根付き始めていた。




