第34話:芽吹く暮らし、制度という土壌にて
新制度と技術導入から半年――バレルたちが進めていた職の安定化政策は、次第に成果を上げ始めていた。
各地域には“職能移行支援センター”が設置され、訓練、資格取得、職場斡旋までが一括で行えるよう整備された。
「前は魔力掘削の肉体労働だったけど、今じゃ精密調整の技師だ。」
「空から物を運ぶ仕事?ああ、あの時学んだ飛行機械整備が活きたよ。」
民の声は、次第に明るくなっていく。
一方で、子どもたちへの教育にも変化が現れた。
学校では“未来職業体験週間”が設けられ、魔法技術、行政補佐、物流運営など、多様な職の選択肢が身近になっていた。
「ねぇ先生、わたし銃尾官になりたい!」
教室で飛び交うその言葉に、教師も笑顔を返す。
「それなら、まずは“聞く力”を育てなきゃね。」
政庁の報告会でバレルは語る。
「制度ってのは、“未来の生活”を支える土台です。芽が出たなら、今度は根を張らせる番だ。」
町の空には、新しい魔力飛行艇が飛んでいた。
地には、再雇用された職人たちが笑顔で働いていた。
暮らしが回り始めていた。
制度という名の土壌に、確かな芽が根付きはじめていた。




