第32話:契りの銃声、響くは産業の詩
バレルは静かに評議会議場の中庭に佇んでいた。
その背後には、三つの旗。
クルガナス国、ベルトーラ国、冥界境界国。
支持国の代表たちが一堂に会していた。
「技術支援協定、締結を歓迎する。バレル殿、こちらの条件もお示し願おう。」
ラザーレが静かに言うと、バレルは一冊の資料を手渡す。
「こちらが我が町で独自開発した“魔力変換炉”の仕様書。量産可能で、かつ都市単位での魔力管理が可能です。」
技術魔王クルガナスの目が輝いた。
「これほどの技術が、住民発案だというのか……!」
「民の声を拾えば、化けるんですよ。国ってのは。」
一方、ベルトーラは分厚い書簡をテーブルに置いた。
「軍需だけでなく、農業魔道具、流通構築型の飛空輸送機……我が国の産業を開放しよう。条件は貴国の技術協力だ。」
「もちろん、歓迎です。」
その場で三国協定は成立した。
通称“銃尾連盟”――技術と理念で結ばれた、新たな経済共同体だった。
その日の午後、バレルは視察で訪れた魔力供給施設の前で、集まった市民に向けてこう言った。
「輸出するのは技術。輸入するのは産業。そして、その橋を渡るのは……民の生活です。」
誰かが拍手を始め、町全体が歓声に包まれた。
言葉と銃で築いたものが、いま経済として動き始めた。




