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第31話:言葉のあとに、銃声は響く
バレルの提案が評議会で正式に取り上げられる前夜。
敵は、黙っていなかった。
「理想主義者の舌など、刈り取ってやるさ。」
そう言い放ち、エルクドミール王国とレグルス武帝国が放った暗殺部隊が、深夜の回廊を静かに駆けていた。
――しかし、その先にいたのは、武装して待ち構えるバレルだった。
「言葉のあとに動くのは、こういう連中なんですよね。」
尾が銃に変形し、回廊に雷のような音が鳴り響いた。
遮蔽物を貫き、刃を弾き、影を消し飛ばす。
「狙撃手、三時方向。前衛は陽動、裏にもう一組……全部見えてる。」
相手は魔界屈指の暗殺術士たち。
だがバレルは、一歩も動かずに迎撃し続けた。
「討論が通じない相手には、言葉より先に“無力化”です。」
十分後、通報に駆けつけた守備魔官たちが見たのは、倒れ伏す暗殺者たちと、肩をすくめるバレルの姿だった。
「騒がしくてすみません、ちょっと掃除してました。」
翌朝、評議会。
レグルス代表は無言だった。
エルクドミール王国の代表は歯噛みしつつも沈黙。
バレルは、あえて言及しなかった。
「さて、昨日の続き。まずは“教育機関への提言投稿制”について議論しましょうか。」
“黙らせる”試みは、静かに、だが決定的に敗れ去った。




