第28話:風の行方、魔王たちの瞳
バレルの評議入りは、魔界中に波紋を広げた。
まず、自国の反応は二分された。
「ようやく、あの町の声が中央に届く。」
「混血を評議に?……魔界の終わりだ。」
しかし議場では、バレルが築いた制度と若手議員たちの働きにより、徐々に反対派も“結果”を認めざるを得なくなっていた。
「彼がいなくても町は動いた。それが何よりの証明です。」
そう語るセヴァルの姿は、すでに“次の時代”を象徴していた。
―――
そして、他国――
冷血魔王クルガナスは、静かに評議書を読みながら呟いた。
「……我が国も、制度見直しが必要か。」
彼女の側近、フィルネスは頷いた。
「少なくとも、混血への門戸は開くべきでしょう。あの町で学んだ通りです。」
軍事魔王ベルトーラは拳を握りしめ、部下に向かって叫ぶ。
「我が国も意見箱を導入する!国民の声を戦力に変えるのだッ!」
「わー!」
だが、最も静かだったのは冥界境界の“灰の王”ラザーレ。
「面白い。言葉で戦うというのか……ならば、次の評議で話してみたいものだな。」
一方、旧王朝を崇める保守国では、眉をひそめる者もいた。
「いずれ“銃尾の町長”が、魔界を崩すだろう……。」
しかしその声も、次第に届かなくなっていた。
なぜなら民の中からも、新たな声が芽吹き始めていたからだ。
それは、魔界に吹く“新しい風”の匂いだった。




