第26話:灰の中から、声を拾う者たち
殲滅戦の翌日、町は深い沈黙に包まれていた。
瓦礫の隙間からは、まだ煙が上がっている。
しかし、バレルの目はその先――政庁へと向いていた。
「襲撃に加担した議員たちの名簿が、すでに挙がっています。」
報告に目を通しながら、バレルは静かに頷いた。
「責任の所在を曖昧にすれば、また同じことが起きる。」
そして臨時議会。
壇上に立ったバレルの声は、いつもより一段と冷たく、重かった。
「今回の襲撃には、現職の政治家、貴族数名が関与していたことが確認されました。証拠は揃っています。」
議場がどよめく。
「だが、純血派すべてを敵とする気はありません。今回の目的は“選別”です。」
バレルは、同時に新たな提案を出した。
「純血・混血の区別なく、“暴力に訴えなかった者”“制度と対話を尊重する者”を公式に保護し、連携を強める。これが、我々の答えです。」
純血派の中にも、顔を伏せる者、安堵する者、そっと頷く者がいた。
それは“包囲網”でも“勝者の排除”でもなく――“共存の礎”だった。
―――
「……弾頭、撃ちましたね。」
カラミルがぽつりと言った。
「うん。これでようやく、“民主”が“爆発力”を持った。」
バレルは、かつて自分が設けた意見箱の一つを見つめていた。
「さあ、次は何を話そうか。」
灰の中から、生まれた声がある。
それが、火を超えて届く言葉になると信じて。




