第25話:銃尾は沈黙せず、光と影の境界で
七魔王評議への招待は、バレルにとってひとつの“通過点”だった。
――だが、その重みを知るにつれ、足が止まりかける。
「俺が評議に入ったら……俺の言葉で、魔界が動く。そこまで責任を負う覚悟……本当にあるのか。」
悩みながらも決断を先延ばしにしていたある夜。
バレルの町に、ついに“その時”が訪れた。
街の灯が消えた。
通信が途絶えた。
空が、赤く染まった。
「……来やがったな。」
襲撃者は、政治の場に身を置く“表の顔”を持つ貴族・議員らの私兵を中心とした混成軍。
純血至上主義の最後の牙城とも呼ばれる、旧家連合による一斉蜂起だった。
「これが“殲滅戦”ってやつか……やれやれ、靴が汚れる。」
バレルは尾を銃に変えると、街の中心に立った。
敵は、数百。
しかし――
「撃つ理由がある。なら、撃つだけだ。」
爆ぜる銃声。
跳ねる魔力。
倒れる影。
戦場には、もはや“言葉”は存在しなかった。
ただ一人、バレルだけが“動かず”に立ち続けていた。
夜が明ける頃には、襲撃者のほとんどが制圧され、首謀者たちの名も明らかになっていた。
そして、魔王サタンから届いた一言だけの書簡。
『それで良い。』
バレルは深く息を吐き、ようやく一言を漏らす。
「さて……次は、“入る理由”が出来たかもな。」
尾の銃が、静かに煙を上げていた。




