第24話:浮かび上がる影、選ばれる光
講演会の成功から数日後、政務局の扉が静かに叩かれた。
「失礼いたします、魔王会議からの正式書簡です。」
届けられたのは、七魔王評議からの通達。
そこには、一文だけ――
『バレル殿の行政手腕と外交対応を鑑み、七魔王評議員補佐の候補として推薦する』
「……これ、つまり“お前を中枢に入れたい”ってことですよね。」
「若いの、すごいことじゃ。だがそれは、“より強い目”にも晒されるということじゃぞ。」
シェイランの忠告を受けながら、バレルは無言で書簡を見つめた。
―――
一方、魔界各国ではその報が波紋を呼んでいた。
「混血が魔王に近づくなど……。」
「だが、彼の町の成功は否定できぬ。」
保守派は警戒を強め、改革派は期待を寄せ、中立派は静観を決め込んだ。
だが、問題は政界だけではなかった。
バレルの町の外れに、ひとりの“声なき者”が立っていた。
旧王朝の流れを組む純血貴族で、かつての政敵の息子。
「次に動くのは、俺たちの番だ。」
彼もまた、次代を担う者のひとり。
バレルの“光”が強くなるほど、その“影”もまた、濃くなっていく。
だが、バレルはまだ何も知らない。
ただ、静かに銃尾の整備を終え、窓の外を見ていた。
「そろそろ、来るかな……次の一手。」




