第18話:予想外の風向き
人材交流の成果が報告され始めたころ、バレルのもとに一本の魔導通信が届いた。
「……カラミルが拘束された?」
驚きと共に立ち上がるバレル。通信の送り主は、南魔国の教育局長だった。
「直接的な罪ではありません。だが、地元の保守派議員らが“異文化干渉による教義の混乱”を理由に、一時的な身柄確保を要請したのです。」
「まさか……。」
情報を調べるうちに、反発の根が浮かび上がる。
教育現場に混血の外来者が入り込み、生徒たちに“違う価値観”を教える。
それを“文化侵略”と断じる勢力が、混血排斥のための大義名分として利用し始めていたのだ。
「せっかく成果が出ていたのに……。」
バレルは拳を握る。
一方、フィルネスのほうも事態は穏やかではなかった。
彼女が魔導研究の現場で発表した混血由来の魔素解析手法が、同国の“魔術純粋主義”派閥に激震を走らせていた。
「純血魔導の権威を傷つけた。」
「我が国の誇りを軽んじる気か。」
一部の学者が抗議文を提出し、協定そのものの見直しを求める動きまで出始めていた。
「やはり……簡単にはいかない。」
報告書を読み終えたバレルは、深く息を吐いた。
「風は吹いた。だが、嵐を呼ぶかもしれない。」
シェイランがふと呟いた。
「若いの、ここが正念場じゃ。反発は“変化”の証じゃよ。」
バレルは静かに頷いた。
「なら、嵐の中にも立ってみせましょう。俺は、動かない。」




