第16話:銃尾と外交と魔王の微笑み
武道会の観戦後、魔王会議が正式に始まった。
七魔王のひとり、盟主サタンの玉座を中心に、各国代表が円形の壇上に並ぶ。
「さて、次は外交議題だな。まずは“改革地区”代表、町長バレル。」
呼ばれて壇上に立ったバレルは、軽く頭を下げた。
「我が町では混血を含む制度改革が一定の成果を挙げております。その結果、経済、教育、医療の指標すべてにおいて改善が見られました。」
「ふん、魔王会議で“混血町の自慢”か?」
毒を含んだ言葉を放ったのは、北魔国の冷血魔王クルガナス。
「混血の増加が魔力純度を下げる危険性については、どのように?」
「実例を申し上げましょう。魔力量・魔導応用力・知性すべてを持つ混血医師、そして私のような混血政治家です。」
バレルの尾がわずかに銃へと変形する。
「純血でなければ国を動かせない、などという証明は未だに成されていません。それどころか、今、証明されつつあります。」
会場が静まりかえる中、魔王サタンがくすりと笑った。
「……いいじゃないか。“結果”を持って語る外交は、実にわかりやすい。」
「私が提案するのは、混血を含めた人的交流。技術・医療・教育の分野において、我が町の手法を試験導入する形で他国と共有する協定です。」
数名の魔王が顔を見合わせる。
南魔国、炎王ヴェリオスが口を開いた。
「混血を理由に断るのは、今後“後進的”と見なされかねん……面白い。試してみよう。」
こうして、バレルの改革はついに“魔界間外交”の舞台へと踏み出した。
それは、銃を撃たずして得た、もうひとつの“勝利”だった。




