第14話:出たくないのに武道会
魔界は七つの王国に分かれていた。
それぞれに“魔王”が存在し、その頂点に立つのが“七魔王”と呼ばれる統治機構だった。
現在の盟主は魔王サタン。名声、魔力、支配力すべてを兼ね備えた、いわば“魔界の顔”である。
そんなサタン主導のもと、各国の代表者が一堂に会する“魔王会議”が開かれることとなった。
外交、軍事、経済の問題を共有し、次なる時代の指針を定めるためだ。
そして今回、その議題に加えられたのが――「護衛選抜会議」。
名目は“会議の安全を守る精鋭を選ぶ”ものだが……実態は、国を代表する戦士たちによる“武道大会”だった。
「……なんで、俺がそれに出るんですか。」
バレルのぼやきに、シェイランが涼しい顔で答える。
「若いの、お主の名がこの数ヶ月で各国にも響いてな。“混血の尾銃”とか“演説で法を通す魔族”とか、あちこちで噂になっとる。」
「いや、護衛なら護衛で専門の魔兵が――。」
「だーいじょうぶじゃ。ちょろっと姿見せて、適当に一発撃っとけば“実績”になる。」
そんなわけで、バレルは“嫌々ながら”魔王会議の護衛選抜武道会に参加する羽目となった。
対戦相手は、純血の魔貴族、力自慢の混血戦士、果ては異国の忍魔まで。
「めんどくさいなぁ……でも、出るからには勝たないと。」
尾の銃が、静かに回転音を鳴らす。
こうしてまた一つ、バレルの名前が魔界の舞台へと広がっていくのだった。




