第13話:苦笑いも政治のうち
意見徴集局の設立から一ヶ月。
投稿件数はやや減少傾向を見せつつも、内容の質が向上し始めていた。
「税制改革についての具体案」「交通魔道網の改善希望」「保育所の増設願い」など、現実的で建設的な意見が多くを占めるようになっていた。
一方で、再び現れた殺害予告も逆探知され、投稿者が地方警備隊に身柄を拘束されたという報が議会に伝わると――
「……バレル議員の意見魔柱、もはや“愚か者除け”だな。」
「純血だろうが混血だろうが、バカはバカというわけだ。」
皮肉混じりに評価が定まり、意見徴集局は“治安補助機構”としても高く評価され始めた。
ついには制度継続の是非を問う審議において、保守派からも反対は一切出ず、満場一致での継続決定となった。
その報を受けて、シェイランが膝を打って笑った。
「お主の作った“箱”が、ここまで魔界を変えるとはなぁ。ほんに予想外じゃ。」
「……正直、こうなるとは思ってませんでした。」
バレルは書類の山を前に、頭を抱えながら苦笑した。
「ただの“意見箱”だったんですけどね……。」
それでも、彼の背に吹く風は強さを増していた。
風が制度を生み、制度が信頼を育て、信頼が次の一歩を支える。
そしてまた一つ、バレルの風が魔界の歴史を動かしていく。




