第12話:意見箱、予想外の中身
意見魔柱の設置から数週間後、局員たちが笑いをこらえながら報告書を提出してきた。
「バレル様、例の“意見魔柱”ですが……少々、興味深い投稿がありまして。」
「ほう、内容は?」
「殺害予告が十七件、尾に関する悪口が八件、あとは……“混血のくせに議員とかウケるw”といった罵倒が三十七件ほど……。」
バレルは沈黙した。
「なんですかその“w”は。」
「おそらく魔導ネットスラングかと。」
「いや、わかってますけど……逆探知済みですよね?」
「はい、魔柱の魔力波から即座に逆探知可能です。送信主のほとんどが市内在住。中には自宅から投稿した者も。」
「そこまでして馬鹿な投稿を……。」
会議室にいたシェイランが腹を抱えて笑い出した。
「ほっほっほ!こりゃ“民意”というより“愚意”じゃな!しかしまぁ、これもまた人間臭くてよろしい。」
一方、議会では事態が騒動となっていた。
「意見箱を悪用して脅迫とは何事だ!」
「いや、匿名でも逆探知されるとは知らなかったのか……?」
一部の保守派はこの混乱を“制度の脆さ”と批判したが、他の議員たちは逆に「民度の問題」だとして苦笑い。
そしてバレルはそのまま、特別会見を開いた。
「殺害予告、罵倒、すべて記録済み。悪質な内容は、魔界司法に通報済みです。」
「……しかし、投稿そのものを禁じはしません。悪意すら記録し、制度の中で管理する。それがこの“意見徴集局”の役割ですから。」
魔導紙の見出しには、こう記された。
『混血町長、罵倒にも動じず。逆探知で“晒し返し”の新風』
こうして、意見魔柱は「使い方によってはブーメラン」という教訓と共に、さらに広く知られることとなった。




