表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ラビットホール  作者: 愛屋及烏
新米バニーになるまで
2/27

二兎を追う者は一兎をも得ず

面接当日。


バニーbarの場所は、遠くもなく近くもない位置にあるらしい。

だが薫は、暗い路地やいわゆる「夜の街」と呼ばれる区域を

やたらと通ることになった。


「まあ、都会だから…作る場所も狭まるはずだし…」


そう自分に言い聞かせ、淡々と足を進める。

昼間なのに、辺りは次第に暗くなり、人影も減り、

騒がしい声も消えていった。


数十分歩き、ようやく「バニーbar」と書かれた看板を見つける。

兎のロゴが点滅するネオンライト。ポツンと建つ店。

酒の匂いと、どこか危険な匂いが漂っていた。


"bar"という単語から、居酒屋のような店だと予想していたが、

人通りは少なく、見た目も居酒屋らしくない。

そして――なんとなく悪い予感もする。


「……いやいや、ここで止まっちゃダメだ。せっかく来たんだし…!」


薫はそういうコンセプトだということにして、

面接のため、店の裏口へ向かった。


裏口へ向かう途中───

狭い路地の奥から、かすかな物音がした。


「ガサ、ガサ……」と、重いものを引きずるような音。

薫は思わず足を止め、心臓が早鐘(はやがね)のように打つのを感じながら、そっと覗き込む。


そこには、一人の青年が大きな黒い袋をずるずると引きずっていた。

人ひとりがすっぽり収まりそうな袋。

不意に中身がかすかに動いた気がして、薫の呼吸が止まる。


肩に力が入り、手のひらにじんわり汗が滲む。


ライトの光が揺らめき、青年の輪郭を不安定に映す。


青年は周囲を気にする様子もなく、淡々と袋を縛り上げている。

その動きは静かで無駄がなく、全く躊躇がない。


不規則に点滅していたライトが安定し、

揺らぎのない光が青年の姿を鮮明に映し出す。


眉目秀麗(びもくしゅうれい)で、綺麗な灰色の瞳……。

紺色の髪に切り揃えられた前髪。


──そして、頬についた赤い血痕。

小話:薫は、前向きで少し純粋な一面がありますが、素直なので多少毒舌だったりします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ