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人間の街

「Level UP!」の続きです!


〜前話までのあらすじ〜

人々の転生を司る「転生管理人」で日本を担当しているのフィオラムは気分で人の転生先を決めるとんでもない女神だった!

そんな彼女の元に、事故死した江坂智弘がやってくる。

彼の態度が気に食わなかったフィオラムは智弘をゴブリンに転生させた!


ゴブリンになった智弘は襲いかかってきた3人の冒険者を手にかける。

その死体を食い荒らすと、彼らが自分の容姿を変える薬を持っていたことに気づいた……!

 街は活気に溢れていた。見渡せば食料品を売ってる屋台や武器や防具を売っている店。行商人らしき人間もちらほら。智弘はポケットの中の札束を握りしめた。これは昨日殺したリーダーの剣を洗って売ったことで得たものだ。


 案外いい物だったらしく武器屋の店主にこれを売りたいと言ったら「いい剣だよ、これ。まだ十分使い物になるけどいいのかい?」と怪訝そうに聞いてきた。


 これで取り敢えずちゃんとした服や装備を買おうと思った。






 ——数時間前。智弘は手頃な洞窟を見つけ、そこで一夜を明かした。その後、森を抜けると人間の街が広がってるのに気がついた。


 智弘はそこに入ろうと思った。入れば何か物資を調達したり、あわよくばフィオラムに関する情報を得られるかもしれない。


 だがこのゴブリンのまま入れば迫害されるに違いない。いや、もう6人喰ったことになっているのだ。討伐対象に指定されているはずだった。

 そのため昨日調達した「変化の丹丸」を使うことにした。


 丹丸を口の中に含み、噛み砕いた。尋常ではないほど苦く、不味い。舌がおかしくなりそうだった。


 それでもなんとか飲み込むと自分の体が人間に変わっていくのを感じた。そして自分の体を見て驚いた。特に意識をしたつもりは無かったが、人間の頃の姿に戻っていたのだ。

「すげぇ……」と呟き、自分で驚いた。

 声が出る!これも丹丸の効果なのか!


 これでコミュニケーションも取れるようになった。人間の間だけ。

 取り敢えず街に入ろう、と智弘は思い街に向かって走っていったいったのだった。









 智弘は大通りから路地裏に入った。少し進むと「魔法装備店 クルル」と書かれた看板が目に止まった。行ってみるか、と思い智弘は店の中に足を踏み入れた。


 店内は朝だというのに薄暗くランタンがアンティーク調の室内を照らしていた。


「客とは珍しいねぇ」と後ろから唐突に嗄れた声をかけられた。

 ギョッとして振り返るとシワだらけの老婆が後ろにいた。

「わたしゃこの店の店主のクルルだよ。この店に客が来たのはかれこれ2、3ヶ月振りだよ。他に客はいないからゆっくり見ていきな」


 店内には奇怪な物が多くあった。トパーズのような物が鉄のリングに埋め込まれた「蓄雷の腕輪」やら包みに包まれた「千里丸」やら。

 智弘の目に「花鏡」という鏡が目に止まった。確かフィオラムの部屋にも似た物があった気がする。


「これは何ですか?」と智弘はクルルに聞いた。


「そりゃ花鏡だよ。うちでしか扱っていない一点物だ。この鏡を通じて世界を見ることができるんだ。フィオラムっていう女神様から何十年前かに貰ったんだよ」と遠い昔を思い出しているような目をした。


「そのフィオラムについて覚えてることはありませんか?」


「綺麗な蒼い髪をした人だったよ。お顔も綺麗だった。優しいお方でね。いきなり店の前の空間が裂けたと思ったらそこから現れたんだ。そして店を見てまわった後にこの花鏡をくれたんだよ」

 智弘は耳を疑った。あのフィオラムのイメージとかけ離れているからだ。あの傲慢で冷酷なフィオラムと同一人物とは考えられなかった。


「この花鏡、買うことってできますか?」これはもとはフィオラムの所持品だ。なんらかの手がかりやらが掴めるかもしれない。


「いいよ。5000ルーペだ」ルーペとはこの世界のお金の単位で1ルーペ=10円程らしい。

 智弘はポケットから5000ルーペを取り出し、クルルに手渡した。


「まいどあり。これはおまけだよ」と言いながら虫眼鏡のようなものを手渡してきた。


「これは?」と智弘は尋ねた。


「真実のレンズさ。これで見た者のステータスが確認可能だ。ちょっと貸してごらん」とクルルが智弘の手から真実のレンズを取り上げた。


 クルルはレンズを覗き込み「えーっと。なになに、トモヒロ Lv.16。種族ゴブリン……ゴブリン!?さらに人を6人も喰ったのかい!?あんた!」とクルルは怯えた様子で叫んだ。


 まずい、と智弘は思った。このままクルルが騒ぎ続け聞かれるようなことがあれば通報されるだろう。さらに俺はもう討伐対象だ。通報されれば終わりだ。


 この老婆を黙らせるしかない。智弘はそばにあった椅子を持ち上げクルルに向け思い切り振った。


 椅子はクルルの額に直撃した。

 ぐしゃり、と嫌な感触が手に伝わった。その途端、クルルの額が割れ大量の血が噴き出した。そしてクルルの亡骸は床に倒れこんだ。



 これで静かになった。あとは使えそうな物をここから持ち出すとするか、と思い、床にあった革袋を拾い上げた。


 そして片っ端から店の中のものを詰め込んだ。

面白かったら評価お願いします!

次話は明日公開します!

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