表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/20

Level UP!

「転生者」の続きです!


〜前話までのあらすじ〜

人々の転生を司る「転生管理人」で日本を担当しているのフィオラムは気分で人の転生先を決めるとんでもない女神だった!

そんな彼女の元に、事故死した江坂智弘がやってくる。


彼の態度が気に食わなかったフィオラムは彼をゴブリンへと転生させた!

ゴブリンに転生させられた智弘は早速、襲ってきた3人の冒険者達を手にかける……!

 智弘は3人の亡骸を見ている内に猛烈な食欲に襲われた。


 3人も殺害したという異常な体験をした直後なのにも関わらずだ。さらにその食欲は目の前の亡骸に向けられていた。


 口からぼたぼたと涎が滴り落ちる。ダメだ、と智弘は自分を制そうとした。


 人間を食べたらもう戻れなくなる。

 江坂智弘が人間ではなく本物のモンスターに変わってしまう。


 いや、と思った。3人殺している時点で既にモンスターなのだ。もうこれ以上堕ちることはないじゃないか、と自分を無理やり納得させ体を襲ってくる食欲に身を任せた。





 食欲から身体が解放された頃には3人の亡骸は骨と骨に少しだけ付着した肉片のみとなった。


 体に力が溢れるのを感じた。目を閉じると頭の中でピロリンという音が反響した。

 そして〈トモヒロのLvが3から16にアップしました〉と機械音声のような声が響いた。


 智弘は驚いて目を開けた。「何だったんだ……今の」と声を漏らすと、

〈これはLvアップ時に自動で起きるアナウンスです。自分のステータスを確認したい場合は『ステータス表示』と唱えてください〉再び頭の中に音声が響いた。


 その時、智弘の頭に引っかかるものがあった。フィオラムの書いていたノートだ。

 そこにはLv.3のゴブリンに転生させる旨のことが書かれていた。

 恐らくそれだ。この世界はゲームのような世界なのだ。


「ステータス表示」と唱えた。すると目の前の空間にステータスが映し出された。


“トモヒロ  種族:ゴブリン

 Lv.16

 スキル:無し

 Lvスキル:未解放(未設定) ”


 どうやらこの世界にはLvのみならずスキルという概念も存在するらしい。が、智弘には無い。フィオラムが無し、と書いたからだろう。それで恐らくLvスキルというのはLvによって解放されるスキルだ。しかし横に未設定と書かれている。フィオラムが書かなかったのだろうか。


 智弘は瞼を閉じ「Lvスキルが未設定だと解放Lvまで到達した時どうなる?」と問いかけた。


〈ランダムで設定されます〉と回答が響く。


 智弘は「よしっ!」と声を上げ、ガッツポーズをした。

 これなら地道にレベリングをしていけば何かしらのスキルを入手できる。

 さらにこのランダムがこの世に存在する全スキルからランダムな場合、強スキルを当てれば「化ける」ことだってできる。


 絶望だけだったこの人生(ゴブリンだが)に希望が出てきた。


 そして智弘はある目標を決めた。

「フィオラムを叩きのめす」だ。最初からゴブリンではなくれっきとした人間に転生させてくれていれば苦労する必要もなかっただろう。まず、転生初っ端から危機に晒されることもなかったはずだ。どれもこれも全て転生先を決めたフィオラムのせいだ。叩きのめし、痛みと屈辱感を与えてやる。


 とりあえず服が欲しい。今の装備は腰に巻いているボロボロの毛皮1枚だからだ。

 そこで他2人に比べ、比較的汚れが少なかった眼鏡男の服を着ることにした。


 着てみると幸いサイズも丁度いい。ポケットに何かが入っているのに気がついた。

 ポケットを漁ると出てきたのは「変化の丹丸」と書かれた包みだった。


 開けてみると黒い玉が4つ入っている。包みの内側には

“変化の丹丸 使い方:丹丸1つを口に含み噛み砕き飲み込む。

 効果:1日の間のみ好きな人物に変化できる。”

 と書かれていた。


 使える、と智弘は思った。これがあれば人間の街に侵入することも可能だ。

 何か色々とご都合展開のような気がしてきたが、使えるものは使っておかなければ生き残れない。


 智弘はこれからしばらく暮らすための拠点が必要だと気づいた。そのため手頃な洞窟を探し始めるのだった。



       ◇        ◇        ◇        ◇



 フィオラムは先程来た老人の転生作業を終え、ふうっ、とため息を吐いた。

 この国は老人が来ることが多い。フィオラムは老人や普通の人々の転生先は普段は人間にしていた。転生先を変えるのは気まぐれを起こした時やその人物次第だった。態度が悪く映れば低級モンスターなどにすることも厭わない。逆に気に入れば強い状態で転生させる。


 フィオラムはふと昨日転送した智弘のことを思い出した。

 転生管理記をペラペラと捲り智弘のページにした。何か出来事があればここの経歴に勝手に追加される。


 そこには“平均Lv.15の人間3人を撃破”と書かれていた。


 フィオラムは目を疑った。幾ら油断していてもLv.3のゴブリンがLv.15の人間3人を倒すとは考えられなかった。



 フィオラムは口元に笑みを浮かべた。この世界に面白いことが増えた、と。

面白かったら評価お願いします!

次話は明日公開します!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ