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EP:2 影の譲渡

優子は目を覚ました。


天井の蛍光灯がチカチカとちらつき、消毒液の匂いが鼻を刺す。体が重い。いや、重いというより、ない。


「……え?」


声が出ない。いや、声帯は震えている――しかし、喉から先が存在しない。まるで自分が「首から上」だけになったような感覚。


(助けて、誰か――)


視線の端で、ベッドの脇に立つ人影に気づく。


「動かない人」だ。


彼は優子のベッドに寄り添うように立ち、俯いた顔をゆっくりと上げた。その首は不自然に傾き、関節のない人形のようにカクカクと動く。


「……ありがとう」


彼の口が動く。だが、声は優子の頭蓋骨の内側で直接響くように聞こえた。


「おかげで、僕は自由になれた」


優子の視界がゆがむ。彼の体が、まるで影を吸い込むように部屋の闇と同化していく。


(ああ、そうか――)


彼は最初から「動けない」のではなかった。何か別のものに押さえつけられていたのだ。そして今、その「何か」が――


優子の中に移った。


■■■■■


翌朝、病院スタッフは「新人看護師が原因不明の全身麻痺」になったことを確認した。


彼女はベッドの上で、ただ涙を流している。


一方、病院の廊下の監視カメラには、首を不自然に傾けた男が夜明けと共に歩き去る姿が映っていた。


(あなたの隣のベッドで「動かない人」が微笑んだら――

次の朝、動かなくなるのは誰ですか?)

明日で最終話w

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