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6 動き出す悪

冒険準備回Part2!

ですが、刻一刻と悪は狙いを定めてきているようで…

―翌朝。

連我は、扉の向こうから聞こえる呼び声で目が覚めた。

着替えなどはないので仕方なく昨日の服をもう一度着て外へ出る。


「あぁよかった、こっちは起きてくれた」


部屋の外では療大が待っていた。


「昨日言ってたお礼を届けに来たみたいで。

外が村の人で凄いことになってるんだよ。

僕1人じゃ運ぶのに時間かかるし2人を起こそうと思って。」


「…柔音は…?」


「いくらノックしても起きないからね。

諦めて連我だけでも、って」


村の人の行き過ぎた感謝と起きない柔音に呆れつつ、

なんとか部屋に各々運び込んだ。


「…これでなんとか全部だね…」


「……おはよ…」


運び込まれた米袋に座って一息ついていると、

まだ起きたてといった表情の柔音が部屋の外から顔をのぞかせていた。


「それなに…?」


「あの化け物を倒したお礼だとよ。

こりゃある程度減るまであんま遠出できねーな…」


「冒険者なら便利な道具ぐらいないのー?」


「冒険者をなんだと思って…

残念だけど俺らの能力は持ち運びには使えないな。

そういや、柔音の能力ってなんなんだ?」


「あー、私のは『セメント』。ちょっと見ててね」


そういい、宿屋の壁にあったヒビに手を当てる。


「はっ!」


そう言って手にぐっと力を入れると、

黄色の魔法陣のようなものが手の触れている所に浮かび上がる。

そしてたちまちヒビが塞がれ、

補修したような跡が残った。


「こんな感じでセメントを出して固めたり、

逆に既にあるものを柔らかくしたりできるの。

けどなんか使いすぎると制御きかなくなるんだよね」


「…つまり、こりゃ3人とも運搬系は無理そうか…」


「俺のコピーも1回使うと消えちまうしな…

ま、とりあえずしばらくは日帰りで見れる範囲の

探索でもするか」


「だね…」




場所は変わり、とある城にて。

そこは廃墟のようで、あちこちが廃れ、蜘蛛の巣や

割れた窓ガラスから数年は放置されているように思う。

そしてその城がそびえ立つ街は、昼間でも暗く、異様な雰囲気が漂う。

その城内を、コツリコツリと一人の人物が歩いていく。

大広間のような所で立ち止まり、

手に持っていた1cm³ほどの立方体を投げる。

それがコロンと地面に転がった瞬間、

パチンと指を鳴らす。

立方体は煙をあげ、縛られた何かに変わる。

それは他でもなく、連我達が森で戦ったあの化け物だった。


「そんなゴミを拾ってどうする」


暗闇から声が聞こえる。

冷たい、まるで死人のような声だった。


「黙れ、人でもないものが私に話しかけるな」


それに対し化け物を持ってきた人物は心底不快だというふうに答えた。


「私はアイツから力を奪い、刻一刻と人間へ近づいている。そう遠くなく、私はお前を超える」


そう言って音もなく去っていった。

はぁ、とため息をつき、大広間に残された人物は

先の見えない城の奥、暗闇を見つめて言った。


「こいつを討伐したのが、あなた様の探していた男です。あの機転力、やはり潰しておくべきかと」


すると、奥の方から言葉が返ってくる。


「ふむ。タイム、言っていた兵器を使え。

奴と群れている仲間を殺害し、奴だけは生かして我の前に連れてこい。

ペタトラ。お前は冒勇隊とやらを追え。

我々の計画を阻みそうな輩は事前に排除しろ」


「承知しました」


大広間にいたペタトラと呼ばれた人物は、一度お辞儀をした後化け物を置いて去っていった。



―そんなことはつゆ知らず、連我達はあれから村の市場にて自由行動していた。

今後冒険に出てあちこちを旅するのだ。

服や野宿セットは買いそろえるべきだろう。

そう考え連我、柔音は服屋に行き、療大は服はあるためテントを見に行っていた。


連我はあらかじめ着ていたコートは好きだった為、

簡単なパーカーの服を数枚とズボンも数枚買い足し、

柔音も布を服風にしたような服装だったので

数枚買い、ついでに着替えて髪をセットするとどこかへ走っていってしまった。


…まあ、昨日は気に留める余裕はなかったがよく考えるとすっぽりと白い布を被っているような感じで、

服装としてはおかしかったしちょうどいいか。


「俺は疲れたし、あとは部屋に戻って―

「ああ、いたいた、どうだ、お前さんある程度回復したか?」


宿屋に戻ろうとすると、切信さんに声をかけられた。

が、どこか落ち着かないと言うか様子をうかがっているようだ。


「はい、なんとか…

何かあったんですか?慌ててそうだから…」


「1つ、頼みがある。

昨日お前さんらが森を平和にしてくれて、

今日何人かが向こうの町へ行こうとしたんだがな、

異様な姿の男がいて進めないんだ。

周囲にトゲのようなコンクリートを地面から生やしてなにかを待っている雰囲気でな。

そいつをなんとかしてほしいんだ…」


「そいつは、何か攻撃してきたりしたのか?」


「いや、そういうわけではないんだが不気味でな」


連我は少し考えた―が、きっぱりと言った。


「悪いが断る」


切信は予想外と言った様子で尋ねる。


「そう…か、ちなみに理由を聞いてもいいか?」


「俺は冒険者だ。勇者でもなんでもない。

冒険者の仕事はどこにどんな山があるだとか記録し、

その情報を売る仕事だ。

だが前に言った通り探索している過程で牙を剥いてくる動物がいればそれは倒す。

なぜなら放っておけば俺自身が殺されるからだ。

だがそれ以上はしない。

決して深追いはしないし、ただ地図に1言ここは危険と書き足して売るだけだ。

ましてや危害を加えてこないものにわざわざ喧嘩はふっかけない。」


「…だがお前さんはこの間、」


「あれは俺自身が衣食住をきちんととれるようにするためだ。

療大だって元は地図を売りに来たらその話を聞いて、報酬もあるっていうんで協力したって聞いてる。

結局冒険者だって聖人じゃない。

悪いがもうあんな怖い思いはごめんだ。

自分の利益を優先させてもらう。」


「…わかった。お前さんにばかり頼んですまない。」


…切信さんはしぶしぶ諦めたようだった。


連我は、少し俯いて立ち去った。


「じゃーん!」

宿屋に帰ると、柔音と療大がもうついていた。

とりあえず1番入り口から近かった療大の部屋に集合する。

部屋に入り、ふと見れば柔音は白のTシャツに黒のスカートで、

普通の女子って感じの服装になっている。

それに昼間まであのシーツみたいな布を頭まで被っていたせいで気づかなかったが、

ツヤっとした金髪は膝手前まであった。


「お、買ったのか…!

というか髪のほうが衝撃だよ…

そこまで長いの中々いないだろ…」


連我は陰ながら思う。

俺の好みだぞ、低身長ロングヘア、と。

…と、危ない危ないと首を横に振って落ち着く。


「あー、たしかにねー。

暮らし的に?あんまり切ってこなかったからねー」


「…というか、柔音って一応僕と連我より年下ってのは聞いたけど何歳くらい?もしかして未成年…」


「ちゃんと15歳ですーっ!数年前18成人から引き下げられたのでギリ成人いってますーっ!」


「ほう…15…の割に話し方が幼い…

それに俺が172cmだから柔音はだいたい130…」


「気にしてること言わないで!!

今まで色んな人に拾われ拾われなんとか生きてるだけだから話し方が幼い…のは仕方ないのっ!!」


…これ以上いじるのは辞めておこう。

俺は嫌われたくないぞ〜。


と、そこへ。

ドタドタと騒がしい音とともに勢いよく扉が開かれた。

落ち着いてください、止まってくださいと後ろで止めているのは宿屋のフロントと切信さん。


「…ちょっと、何が…」


すると、止められている40代ぐらいのおじさんが、

いきなりすごい剣幕で連我に怒鳴り散らす。


「お前があの変質男を呼び寄せたのか!!

お前のせいで村民は町にいけないんだ!

今すぐ出ていけ!」

次回、ついに謎の組織と連我が衝突―。

ブックマークでお待ちいただけるとありがたいです(^^)

あ、ちなみに何とは言いませんが連我の好みは筆者、点Pの好みでもあります

何とは言いませんが。

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