みことの出会い
短めすまぬ。
「誰ダ貴様ハ?マダ生キ残リガ居タノカ...」
スカウトも一段落し,帰路に着くシエラの前に急に既に黒く変色した血で染まりきった装束を着た女が現れる。その姿は神々しくあり,されど妖怪とも取れるような明らかに人間では無いものだった。
「『明くる日も 暗闇照らす プレールナ!』」
尋常ではない力を感じ取ったシエラはプレールナへと姿を変える。相対する女はただ一言面倒そうに呟く。
「去ネ...」
その瞬間プレールナの心臓の鼓動が止まる。急に酸素が供給されなくなったプレールナは最短で生き残る方法を探す。
「星は願いを聞くけれど,星自体が叶えてくれるなんてことは有り得ないわ!」
それは至極単純なことであった。我々が流れ星に願っても必ずしも叶わぬ様にプレールナの根源,その奥の『星』と言うただ遠く美しいものにいくら人が呟いても届くことは無いのだ。
「星カ,確カニ貴様カラ星ノ力ヲ感ジル。言霊ガ効カヌノハ痛イナ。」
言霊ね...言ったことが現実になる部類の能力だとは思うけど初手が即死だし割と出来ることが多そう。私個人に出来ることはないから何が起こるかを相手の言葉から予測しないといけないのはきついな。
「揺レロ。」
「?!」
聞こえた瞬間に空に飛んで回避するが,一歩遅れていれば再び立ち上がる事は出来ないほど周囲が揺れる。耐震構造に富みすぎている日本家屋が倒れる事は無いが...正直過去類を見ないほど揺れている。
「空モ飛ベルノカ,昨今ノ妖怪ハ芸ガ多イ。」
「妖怪ではないぞ?」
女を中心に公転し後ろへ回り込む。その瞬間に自転して蹴りを叩き込むが女はビクともしない。
「なんだと?!」
「ソノ程度カ?」
女に足を捕まれ振り回されるプレールナ。さすがに不味いと判断し,再び公転を開始する。
「急に頭に川柳が浮かぶのはいつまでたっても慣れないな。『何者か 満つが見えぬは 朧月』」
周囲に霧が立ち込め月が浮かぶ。しかし霧で何が映っているかは見えはしない。
「今度ハ何ヲスル気ダ?」
「さぁ何をするんだろうね...『あぁ,あの月は...ストロームに見えるよ。』」
月から現れたのは真っ黒な女の子。流れ落ちる滝の水飛沫のような衣装に身を包んだ黒いストロームであった。
「勝ち確の流れを持ってこいストローム。ありったけの想造力はくれてやる!」