表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

49/50

49.レイの睡眠時間

 男爵邸の遊戯室は基本鍵がかけられていない。

 貴重品が置かれていないことと、エリスティアが勉強の息抜きに使いやすいようにだ。


 そしてレイにも使用が許可されている。

 彼もエリスティア程ではないらしいが外出が制限されているらしい。

 癒しの力を持っていなくても黒髪はこの国では目立つのだ。

 運動と気晴らしが必要なのは彼も一緒だった。


 レイはエリスティアとその父であるユーグ・フィリル男爵にアスラ国の言葉を教えている。  

 その上でエリスティアと一緒に家庭教師から授業を受けている。

 他にも色々やることがあるのか、授業の予習や復習をしている時以外は余り部屋に居なかった。


 彼は多忙なのだ。だからか遊戯室に彼が一人でいる姿をエリスティアは久々に見た。

 部屋が出来たばかりの頃は珍しかったのか偶にレイと遭遇して遊んでいたのだが。


 まさかこんな時間帯に先客がいるとは。エリスティアは驚きで目を見開いた。

 黒髪の少年も同じような気持ちだったのか、珍しく無防備な表情をしている。


「エリー……お嬢様?」

「今はエリーだけでいいわ、私たち二人だけだし」


 大人たちはいないもの。そう言いながらエリスティアは静かに扉を閉めた。

 レイはブランコから立ち上がり少女の元へ近づく。


「どうしたんだよ、こんな時間に」

「そっちこそ」

「俺はなんか、目が早く覚め過ぎて……」


 少年の言葉にエリスティアは自分もだと返した。

 エリスティアはネグリジェにカーディガンだがレイは既に着替え済みだ。


 そういう性格なのか、それとも元々起床時間が早いのか。

 エリスティアは直接本人に確かめてみることにした。


「レイって普段は何時に起きているの」

「いつもは……五時ぐらいかな」


 予想よりずっと早朝だったことに黒髪の少女は驚く。


「えっ、そんなに早く起きて何をしてるの?」

「何って……色々」

「だから色々って何よ」


 自分には言えないことなのか。苛立ちよりも不安でエリスティアは食い下がる。

 無理をしていたり危険なことはしていないだろうか。

 そして何よりも心配な事は。


「ねぇ、レイはちゃんと眠れてる……?」


 眠らないと駄目よ。そうエリスティアは自身の胸の前で指を組みながら告げる。


「もし寝られない理由があるなら言って、私やイメリアにでもいい。人間って眠らないとある日突然……」


 本人も気づかない内に体が動かなくなって死んでしまうから。

 エリスティアの自戒を含んだ重い言葉に黒髪の少年は戸惑いを表情に浮かべた。


「私は大切な人たちがそんな風に亡くなるのは絶対嫌なの、だから理由があるなら教えて欲しい」


 そう瞳の力を強くしてエリスティアは告げる。

 心から自分を心配していること、そして理由を話さないと納得しそうにないこと。

 その二つを黒髪の少女から感じ取りレイは渋々と口を開いた。


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ