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6. リピート・アフター・アポカリプス

「ほあああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!??????」

 叫びながら起き上がりますと、そこはあたたか~い寝室、ベッドの上。

 ……はぁ。

 ワタクシは眼前の光景に見飽きましたが、一応確認致しますと、案の定記憶に残っているワタクシの家の寝室そのものでございました。本棚、机、ベッドの掛け布団の模様、あらゆるものに見覚えがございます。窓からは光が差し、チュンチュンと鳥の声が外から聞こえてまいります。

「どうされましたお嬢様!!」

 いつも通りメイドのカエがバタバタと部屋に入ってきます。

「何でもありませんわ。夢です夢」

 そう言うとカエは慈愛の笑みを浮かべて、ワタクシの頭をそっと抱え込むようにその暖かな――いや言うほど暖かくは無い――手で抱きかかえようとしてきたので、

「ああ大丈夫大丈夫、ささっと忘れますから大丈夫ですわ」

 と彼女の胸元を押し込んで距離を取ります。

「そうですか?なら良いのですが」

 まぁ全く忘れるつもりはございません。忘れようもございませんので。ですがカエにあまり心配をかけすぎるのも良くありません。この場はサクッと済ませるのがよろしいのです。

「お食事の用意は出来ておりますので、着替え終りましたらどうぞ。お父上とお母上は相変わらずお忙しいということですので、先にお済ませになられました」

「わかりました。では少し出ていて下さいまし」

 カエはその言葉に深く頷くと、部屋をトトトと出ていきました。


 ――以上のようなやり取りを、あれから、かれこれ三回程繰り返しています。


 最初は牢獄に閉じ込められる事で自らの命だけでも守ろうとした結果、天井と壁が崩落して死亡と思われる事態へ。とりあえず痛みを感じることもなくただただ一瞬で意識が消えました。それだけが救いとは言えるでしょう。よく有りませんけれども。

 二回目は偶然の可能性もあると考えたのと潰されるよりはマシと判断し、流れに身を任せました。転生直後と結果は変わらず、隕石が落ちてその余波で吹き飛ばされてザバン。つまりワタクシが足掻かない限り何も変わらないという事は確認出来ました。

 三回目はワタクシを追求する場で逆に「隕石を落とそうとするヤツは誰だァ!!」と刃物を持って暴れてみました。が、特に反応する相手はおらず、ただただカワイソーな人間を見る目で見られておりました。全く納得が行きません。その後、首筋に当身を受けて気絶、気づいたら島流しに合っておりました。現実にはそんな事出来ないはずですのに!!異世界だからなのかでしょうか。――結末については先に二回も述べておりますので、言うまでもございませんね?ザバンでドボンで気づいたら此処です。


 ループというのは虚しいもので、同じ三日間を経て世界が滅亡し、そしてその過程の全てを失って戻ってくる。無駄な日々を過ごした気分でございます。というか正しく無駄です。三日間という貴重な時間を消費して積み上げられるものが何もございませんで。

 唯一、幸いと申しますか、一応残っているものはございます。それは記憶。ワタクシの脳裏には、三日間で起きた様々な出来事が鮮明に残っております。

 ですが、何もわかりません。此処は何処なのか?何故世界は滅亡するのか?何故私はループしているのか?わかったことは唯一つ、今のところ回避する術は全く無いということです。

 この三日間を今後も延々と永遠に続けていくことになるのでしょうか?

 ワタクシそう考えると言葉はよろしくありませんが発狂しそうになってしまいます。三回目で既に発狂寸前では?というツッコミは受け付けません。皆様もそういう立場に置かれればこうなるというものです。――ワタクシは誰に話しているのでしょう。深く考えないことに致します。

「おお神よ!!誰か何とかして下さいまし!!」

 ワタクシは窓を開けて天に向けて叫びました。

 返ってくるわけもない返事をほんの少し待ってからいそいそと着替えを始めました。

 しかし――

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