5. リスポーン・ポイント
「なんでですのぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!??????」
叫びながら起き上がりますと、そこはあたたか~い寝室、ベッドの上。
……んんん?
ワタクシは眼前の光景が信じられず、キョロキョロと辺りを見渡しますと、記憶に残っているワタクシの家の寝室そのものでございました。本棚、机、ベッドの掛け布団の模様、あらゆるものに見覚えがございます。窓からは光が差し、チュンチュンと鳥の声が外から聞こえてまいります。
「どうされましたお嬢様!!」
メイドのカエがバタバタと部屋に入ってきます。
「い、いえ、えっと、何でもありませんの。へ、変な夢を見てしまいまして」
そう言うとカエは慈愛の笑みを浮かべて、ワタクシの頭をそっと抱え込むようにその暖かな――いや言うほど暖かくは無い――手で抱きかかえました。
「ああ可愛そうなクレアお嬢様。落ち着いて下さい、大丈夫、カエは此処におりますので」
そういって彼女のその結構大きめな二つのお山にギュウギュウとワタクシの頭を押し付けます。いい匂いですが息が出来ません。
「むぐーっ!!むぐーっ!!」
離してくださいましと慌てて手でぐいぐいとそれを押し込みますと、漸くカエは気付いたようです。
「あら失礼、つい」
そう言って手を離しました。
「げほげほ。焦りすぎですわ。ワタクシは平気です。夢なんてパパパッと忘れてしまえば良いのですから」
そう言って胸を張りましたが、如何せん忘れることの出来ない夢でございました。しっかりと記憶には刻まれております。
「良かったです。お食事の用意は出来ておりますので、着替え終りましたらどうぞ。お父上とお母上は相変わらずお忙しいということですので、先にお済ませになられました」
「わかりました。では少し出ていて下さいまし」
カエはその言葉に深く頷くと、部屋をトトトと出ていきました。
「はぁ」
ワタクシは深い溜息を吐きました。
結局またこの……寝室に戻ってきてしまったようです。
そうなるとワタクシの脳裏に一抹の不安が過ります。
まさかこの世界は本当にゲームの世界なのではないか?と。
そして、ワタクシはこの二日間を永久にループし続けるのではないか?と。
「……そんなわけ、ございませんわよね?」




