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41. 事情聴取しましょうねン

 アタシはリラ・トビユーラ。本名?前世の名前?は向原理那。皆様からは『”無理”の無い女』略して『無理無』=『ムリナ』等と呼ばれていますよン。

 ……少しこの口調は押さえましょう。読み辛いと思いますのでねン。

 さて。

 アタシは何とかニーチェ様にアポイントメントを頂きまして、彼の事情を探る事が出来つつあります。

 彼の目的はクレアちゃんの保護。追放を防ぐ、という事にあるようです。

 ですがここで問題があります。何故彼はその事を知っているのか?

 アタシ達のような転生者で、ループでも記憶を保持する事が出来るのであれば話は別ですが、彼は転生者ではありません。その証拠に、裕二君とか梨花ちゃんの声は聴こえていないようでしたので。

 それに。そもそも世界の滅亡=隕石の落下が起きたのは、追放が起きた後ではありますが、隕石の落下には杖が必要です。それはこのループ一日目の時点で完成直前に至っておりました。この三日間のループに入るより前に、クレアちゃんが追放される事を知っていないと、そんな事は出来ないはずです。

 となりますと。

 アタシ達が考えていた『バグ』にはまた別の何かがあるのかもしれません。

 もう少し、話を聞いてみましょう。


「彼女の追放とは、つまり、シグニ王子の婚約破棄から始まるアレですかァ?」

「そうだ。あの悲劇を何としても食い止めねばならない。そのためには、この世界をやり直し、そうでないルートを作り出すしか無いのだ」

「……ふむ」

「どうした?」

「一つ疑問なのですが、ニーチェ様は何故それをご存知なのですか?」

「……」

「アタシはループする事で知りました。ニーチェ様もループしているのでしょうか?」

「ループというのが、私の知るその現象と同じであるならば、そうだ。だが、君達のように三日間を繰り返しているだけではない」

 少し息を吸って、吐いて、意を決したように、彼は言いました。

「……私はこの世界の最初から最後までを知っているのだ。ゼシカがやって来て、ゼシカが結ばれるという結末を迎えて終わる、その一連の流れを」

「それは……つまり……」

 ニーチェ様は深刻そうな顔をしながら、

「……君はループという言葉を使った。だから理解してくれると信用して話したいと思う。私が抱えている問題を」

 そう言って、彼は語りだしました。

「私が一番最初に覚醒したのは、そう、クレアを見つけた時だ。あの美しさと、そして哀れさを見て、私ははっきりとこの世界を認識し、そしてクレアと共にシグニを潰す事を考えはじめた」

 これはシグニ王子ルートの裏で行われる事です。クレアちゃんは追放され、海に呑まれ、そして魔界へと流れ着くのです。

「だがゼシカに破れ、私達は投獄された」

 ふぅ、と息を吐きました。

「あの時は愕然とした。まさかあの小娘(ゼシカ)が勇者の末裔だとは思わなかった」

 そういう設定なのです。設定過多が過ぎる気がしますが主人公だし。

「完敗し、私は死を覚悟した。だが、あの時、クレアが庇ってくれた。全て自分がやった事だと言って。最終的に彼女は死に、私は国外追放とする事でまとまった。……あのとき私は、クレアが女神に見えた。死ぬ間際にも私に微笑み、大丈夫、とずっと励ましてくれた。それが仮初の希望だと分かっていても、私の心を守るために、ずっと。……その時までも勿論そうした想いを抱いていたのだろうが、そこで私ははっきりと、彼女に恋した」

 一区切りをして、またニーチェ様は話し出しました。

「そこでループが始まった。私は気付くと幼少期に戻っていた」

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