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37. そしてやっぱりこうなりますわ

 ニーチェ・R・フーガー。

 以前探した時は居なかったキャラクター。

 実は魔族で、シグニ王子ルートの途中から登場する、らしいという事しか、ワタクシには分かっておりません。

 ワタクシも対面するのは初めてです。

「な、……なぜ、ここに?」

 ですので、こんな単純と申しますか、フツーの質問しか出来ませんでした。

「…………」

 彼は黙って何も言いません。

「本来であれば彼は……確か、この時期はまだ魔界に居るはずですよねン?」

 ムリナ様が天に問いかけます。

『え、ええ。えーと、パラメータ的には……そのはず……バグも無い……でも此処にいる……なんで?』

「お前は誰だ」

 ニーチェ様がムリナ様を指差して言いました。

「ふぇっ、え、えーとアタシは……リラ・トピユーアと申しますよン」

「……誰だ」

「それは一旦置いておいてくださいまし」

「モブみたいなもんと思ってくださいよン」

「も、ぶ……?」

「それよりともかく!!あの杖を破壊しましょうよン。そうすれば――」

「それはダメだ」

 ニーチェ様が急に口を開きました。

「これは世界に反逆するために必要なのだ」

「はんぎゃく?」

「そう……。君には理解出来ないかもしれない、理解しなくてもいい。だが私にこの杖は必要なのだ」

『それは世界のバグなんだ。あっちゃいけないものなんだ』

 裕二様が必死に言っていますが、まるでニーチェ様は聞こえていないように無視をして、杖に手を伸ばします。

「待って下さい!!」

 ワタクシが叫びますと、彼の手が止まりました。

「裕二様のお話を聞いてください!!」

「……ユージ?誰の事だ?」

 ニーチェ様はキョトンとした顔で辺りを見回しました。

「……その、先程の声、天からの、声、聞こえません、でした?」

 ニーチェ様はゆっくりと頷きます。

「……転生者じゃ、ないのン?」

 ムリナ様が唖然とした様子でおっしゃいましたが、やはり彼はその意味が分からないようです。

「君たちの言いたい事は分からないが、ともかく」

 そう言うと彼は再び杖を持った部下に手を伸ばしました。

「君の、為なんだ。――今は分からなくてもいい。だが、邪魔だけはしないで欲しい」

 そう言って、チラと私を見ました。その物言い、その目はあまりに切実で、誠実で、そして情愛に満ちていました。

 うっ、なんだか……ここまで直球ストレートで優しくしてくれたのは久々なような気が致します。ワタクシ涙がちょちょぎれるような感覚です。

 ……が、ここで杖を使うというのは優しくも何ともありません。

「どうか、それは――」

 やめて欲しい、と言いかけましたが、残念ながら間に合いませんでした。


「繝。繧ソ繝ォ繧ケ繝・ヰ繝サ繝イ繝サ繝溘ち繝サ繝翫き繝ュ繧ェ繝サ繝吶Ο繝帙・繧、繧ォ繧サ繝サ繧イ繧ス繧ス繝ェ繝輔・繝ャ繝輔・繝ィ繝サ繧キ繝」


 再びループに入ろうとするワタクシの脳内では、あのニーチェ様の情愛に満ちた目が脳裏に焼き付いて離れませんでした。

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