32. 即オチ2コマというヤツですわ
「嗚呼」
ワタクシは相も変わらぬ初日のいつもの自室、ベッドの上で五体投地をしながら嘆きました。嘆くしかもうやることございません。
諦めない!!と決めてから何回ループしたでしょうか、もうここで嘆いている時点で皆様おわかりの事と存じますが、はい、なーんも進展はございませんでした。
「そう進展は無いのですグハハハハハゲハハハハハハハ!!!!!!」
『ついに壊れたか』
裕二様がそのように仰っしゃり、
『グー』
梨花様はいびきで以って答えました。
こちらの世界と、便宜上『現実世界』と呼ぶ場所との間では、時間の進み具合に勿論違いがございます。こちらの一日は向こうでの大凡十分にも満たない時間です。どこぞの県民でも安心してプレイ出来る時間設計は素晴らしいものがございます。
ですがそれでも時間が経つことは間違いなく。深夜である向こう側では、裕二様も明らかに健康によろしくない色の飲み物を飲みながら必死に起きております。
「仕方ないでしょう……。何度やっても効果がないのですから……」
ワタクシは嘆くようにポツリ呟きました。
一回目。
ワタクシ達は午前中に急いで倉庫へ向かいまして、「お父様!!お母様!!」とドンドンドコドコ倉庫のドアを叩きお二人を呼びました。ドアには鍵が掛かっていて開きません。少なくとも、このドアに関しては開けて貰わねばならないようです。ムリナ様には平行して通用口みたいなものが無いかを探ってもらおうと思ったちょうどその時、
ガラガラガラ、とドアが開きました。
「クレア……!?何故ここに?」
暗闇の中からお父様が驚愕の表情で出てきました。横にはお母様、手には杖を携えております。嫌な予感が既にプンプンですが、話を進めねばなりません。
「そんな事はどうでもよろしいのです!!お父様お母様、今やっている事をお止めください!!」
ワタクシがそういうと、二人の表情は急に険しいものになりました。
「……今、やっている事?」
「あっ」
ムリナ様がマズイという顔でこちらを見ました。
……そうでございました。ワタクシ、その点については存じ上げていないはずの人間でございました。
「いや、今のは」
「誰から聞いた」
厳しい口調でお父様が聞いてきました。
「………………いや、その、あー、わた、ワタクシ……」
「シグニ?」
お母様もまた険しい口調で言いました。あ、それ、それならワタクシのせいにはならない!!
「はいその通りでございます!!シグニ王子が――」
そういうとお父様とお母様は目を見合わせました。
「マズイな」
「ええ。この子にまで伝わっているという事は、相当広がっているでしょう」
「早々に実行しよう」
そう言うとお二人はドアを閉めて奥へ引っ込みました。
「あ?え?ちょっ、ちょっと!!」
ドアをドンドコ叩きますが、今度は全く反応がありません。
「開かない!!なんでこんな……硬いんですのン!?」
ムリナ様もタックルしたりして何とか開けようしてくださっていますが、ドアが全く動く気配がございません。
「繝。繧ソ繝ォ繧ケ繝・ヰ繝サ繝イ繝サ繝溘ち繝サ繝翫き繝ュ繧ェ繝サ繝吶Ο繝帙・繧、繧ォ繧サ繝サ繧イ繧ス繧ス繝ェ繝輔・繝ャ繝輔・繝ィ繝サ繧キ繝」
そしてドアの奥から聞こえてくる呪文。
「ああっ、ちょっ、やめ」
空に浮かぶ巨大な岩。その影がどんどん近付いて参ります。
ドォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン!!!!!!!!!!!




