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24. 再会

 梨花がマスターカメラの位置を操作し、俺はソースコードを弄る。弄れない。やっぱり勝手に思考回路、AIの学習内容は随時書き換わっていく。やはりコイツはクレアと同じ状況にあるようだ。となれば、彼女の言う通り、こちらに反応する可能性は高い。

 もし外れたら職場の人間からはバカに見えそうではあるが、それでもやらざるを得ない。

「おーい」

 リラを画面の真ん中に置いて話しかける。

 彼女はビクッと反応し、そのまま森の中を駆けて街の方へ逃げていく。

 間違いない、自我があり、こちらの声は聞こえている。

「おーい、俺は……その、この世界の神、みたいなものだ。この世界について話がある、ちょっと聞いてくれ」

 明らかに足取りに迷いが見えている。

「知っているかどうかは分からない。だが真面目な話と思って聞いて欲しい。――この世界は明らかにループしてる。それを何とかしたいんだ」

 俺がそう言うと、ループ、という点に反応して足を止めた。

『……その声は……なるほど、どうやらマジでそういう事のようですねン。つまりこのループは、開発側の意図的なモンじゃあないって事ですねン?』

 随分と特徴的な口調だ。そんな設定だっただろうか。

 いや、俺はこの口調に覚えがあった。

 このキャラは知らない。だが、同じような口調をしている人間に覚えがあった。

『……やーやー、それは良かったですよン。もし意図的なものだったら、悪意しか感じませんでしたからねン。……にしてもその感じですと、原因はあれですかねン?見つかってないというヤツですかねン?裕二さン』

 俺の名前も知っている。

 これは?まさか?いやしかし、そんな事あるのか?転生だけでも奇跡なのに、それが二人も此処に転生して、その内の一人が知り合いだと?

「知り合いですか?……と聞きたいところなんですが、この人もしかして?」

 梨花も大凡察したようだ。「多分」と答えると、「うへー」と呆れたのか感動しているのかその入り混じった声が彼女の口から出た。

『おや横には梨花さんですかァ。やー、元気にしてましたかねン?』

 梨花も知っている。そしてこの変な抑揚の、変な語尾が、覚えがあった。

 俺は意を決して、先程から浮かんで離れない仮説を尋ねる事にした。

「……まさか、ムリナ?」

『イエーーース。アタクシこと向原理那、異世界に転生致しましたですよン』

 俺は椅子から転げ落ちた。

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