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23. 進展のないループほど虚しいものはございませんわ

 さて。

 先程のループは予想通り滅亡しました。

 何せ元よりどうすれば良いか分からないという状況。ワタクシも最善を尽くそうとは致しましたが、如何せん世界の滅亡という大事にあたり、ワタクシ一人の力というのは余りにも無力なものでした。そも追放されるのだから出来る事なんて極めて限られておりますし。

 気づけば滅び、そしていつもの朝がやってまいります。


 カエを追っ払うところまで完全一致。幾度となく繰り返したそれを終えると、ワタクシは一人部屋で大きく溜息を吐きました。

「はぁ」

 なんともはや。

 まさしく如何ともし難いという状況です。

「そちらは如何でしたか」

 天に向かって声を上げると、裕二様が暗い暗い顔で覗いて来ました。

『……全然』

 聞くまでも無く分かりましたが、ワタクシはその点に関しては触れない事と致しました。

「弱りましたですわね。このまま当てもなく幾度もループする事は避けたい所なのですが……ワタクシの精神衛生上の問題から」

 ――もうそろそろ慣れてしまいましたが――毎度毎度罵倒され、知っている建物が崩壊し、水に溺れるという一連のやり取りを繰り返すのは辛いものがあります。

『無論俺としてもあまりお願いしたいものではないのだが、しかし如何せん手掛かりが……』

 と。

 何か視線を感じてワタクシ、窓の外、下の方を見てみました。すると。

「あれ」

 先のループで問題視された方、リラ様の姿が見えました。キョロキョロと周りを探しています。まるで囁き声か何かが聞こえているかのように。

 ――もし、転生しているのだとして。ワタクシと同じ境遇に陥っているのだと更に仮定を重ねてみます。

 そうすると、もしかすると天の声=裕二様、梨花様の声も聞こえているのかもしれません。しかし声の発生位置がワタクシの部屋なので薄っすらと聞こえる程度。だからキョロキョロと辺りを伺っているという説は如何でしょうか?前のループで逃げ出した時も、そう考えるとわからなくもございません。

 ワタクシは手元の紙にサラサラと書きました。

『すぐ近くにリラ様がいらっしゃいます。こちらの声が聞こえているかもしれないので、うまく回り込んでください』

 と。

 それを見て裕二様達はかるーく、極めてかるーく頷くと、そのまま視線を移動させはじめました。

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