21. なんか動きましたわ
ガサッ。
「ん?」
外で何か音がしました。ワタクシは窓からそれを覗いてみます。すると、屋敷の外の木々に隠れて、何者かがこちらをじっと見ていました。何者かはよくわかりません。女性のようには見えましたが。
「!!」
その女性らしき影と、目が合ったような気がしました。するとその人物はサササササッと森の中へ消え、どこかへと走り去っていきました。
……???
『どうした?』
「いや、今何か視線を……うーん?」
視線を感じて、ふと考えますと、その感覚に何か覚えがあるような気がして参りました。
周回の途中、ゼシカや各NPCを誘導するその最中。その時は誘導だけで忙しくて手が回りませんでしたが、何度か視線を感じる事がございました。その時の感覚と、どこか似たようなものがございます。
『視線?この辺にNPCはいたか?屋敷の中にいるのは知ってるが』
裕二様が梨花様にお尋ねになられました。
『うん、屋敷の使用人くらいで、他にはいないはず。じゃーあー、今逃げていったのは誰だー?』
梨花様が神の視点を移動させて確認されています。
『これね』
どうやら見つけたようですが、ワタクシには見えません。
『……これは誰だっけ?』
パラパラと仕様書をめくる音が聞こえます。
『えーと……、リラ・トピユーア。ただのモブ。学園にセットしたはず』
『そのモブがなんでここに?』
今度はキーボードを叩く音。裕二様の作業のようです。
『……いや、ここに居るはずの無いヤツだな。思考内容は……おぉっと』
初めてに近いほど、裕二様の何やら嬉しそうな声が聞こえて参りました。
「どうされました?」
『ビンゴだ、これだ』
裕二様は『漸く手掛かりが……』と感慨深げに呟かれ、そしてこう言われました。
『コイツの思考もアンタみたいにバグってる。もしかすると、同じように転生してきた誰かなのかもしれない』
「なんですと」
そんな偶然がニ度もあるものなのでしょうか。しかし手掛かりにはなりましょう。
『何としても見つけ出すぞ』
そう言って裕二様達は意気揚々とカタカタとキーボードを打ちまくり始めました。




