13. またまたやり直し確定ですわ
『……とにかく、なんかわからんけどわかった気はするような感じがある』
『分かって無くないです?』
女の方がツッコミを入れました。ワタクシも同感でございます。
『煩い。いいんだ、つまり、あれだ。クレア・シャフィーレのAIに誰かが転生してしまった。それのせいで思考に関してバグが発生している。加えて……加えて?加えてっていう事になるのか?マジで?じゃあバグ2件?』
男の方が頭を抱えました。どうやら随分と困惑されているようですが、ワタクシも内心ではチンプンカンプンです。
『……こっちで言うと2ターン……20分くらいか、そっちで言うと2日経過した後、クレアが追放されるか何かした時にゲームオーバーになるというバグが発生している』
「ワタクシの転生のせいだとは思いたくありませんので、そういう事になるみたいですわね。……困りましたわね」
ワタクシの方で何とかしようと思ったのですが、どうにも何とも出来ない状況にあるようです。しかも、開発者の方にもどうにもならない、と。開発者とは即ち、この世界の創造主のようなもの。そんな方々を以てしてもこの事態は解決出来ないという事のようです。
オウフ、ワタクシの二度目の人生は此処で終幕と相成るという事でしょうか!?いや終幕すら無いのです。永遠に三日間を繰り返す事になるのです、このままでは。
そんな事ぜっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっったいに避けねばなりません当然です。そんな牢獄のような人生は懲り懲りです。せめて――せめてというには慈悲の無い選択肢ですが――全うに死ぬ事で全てを終わらせたい。このまんま三日間を繰り返すよりはマシというものです。
「まず――今後も含めて、情報共有することに致しませんか」
ワタクシは慌てふためいている相手方に対し切り出しました。
「この三日間閉じ込めバグはワタクシにとっても不都合がございます。不快極まるといいますか、人生が完全に終了してしまいますので。他方皆様にとっても到底良い話ではございますまい。この状況は突破する必要があるという事です」
『……そ、そうだな、うん』
男の方が我に返ったように言いました。
『自己紹介すらしてなかったな。俺は三島裕二、SEでプログラムも担当してる』
『堀山梨花。同じくプログラマー。先輩と組んで今はメインルートのデバッグ中』
「クレア・シャフィーレ。前世の名前は覚えておりませんが、とりあえず転生者というやつですわ。……話の腰を折りますが、メインルートってワタクシのルートですの?」
『デボラが主人公よ』
「きぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」
ワタクシは手をワナワナと震えさせながら思わず吠えてしまいました。だって思いません?ゲームの世界らしき場所――よくわかりませんが――に転生して、何故主人公ではございませんの!!
「……落ち着きましょう、元々察していた事ではございます。それで、情報共有と言っても現在分かっている事はございません。この後はどうしますか」
『まずは君に焦点を当てながらプレイしてみる。普通……というのもなんだが、流れに沿って立ち回ってみてくれ』
「承知致しました」
そしてワタクシは改めて三日間を過ごす事と相成りました。