10. Hello, world.
「「おお神よ!!誰か何とかして下さい!!」まし!!」
声がダブった。……ダブった?なんで?誰と?女性の声だ。
「……今のお前?」
梨花に尋ねた。
梨花はフルフルと頭を振った。そして、
「そっちから」
そう言ってディスプレイを指差した。
「何言ってんだ」
バカな事言うなと思いながらディスプレイを見る。
するとそこにはゲーム内のNPCであるクレア・シャフィーレが映っていて、テキスト欄には『おお神よ!!誰か何とかして下さいまし!!』と表示されていた。
「…………こんなセリフあったか?」
「ない、と思いますけど、……AIが何か学習したとか?」
どうやらそうらしかった。
なぜなら彼女はじっと天の方――俺たちの方を見ていたからだ。
「……もしかして、見えている、のか?」
俺が馬鹿げた妄想みたいな事を口にすると、テキスト欄が更新された。
『あの、はい、見えており、ます、わ。空に、あの、男の方と女の方の顔が映って、それで、皆様の声が、ええ……聞こえてきて……おりますわ』
と。
俺と梨花は顔を見合わせて、
そして少しだけ間を置いて、
「「ぎゃぁぁぁぁっ!!」」
と同時に叫び声を上げた。