手紙
究極のピュアラブ!!切なすぎる結末!!
号泣間違いなしです
みきへ
君と初めて会ったのはあの喫茶店だったね、無愛想にしてごめんよ
本当はもっと君と話がしたかったんだよ、今ならきっともっと素直に話ができるよ
僕には人には知られたくない秘密がある。
だから学校が終わると必ず行く喫茶店でコーヒーを飲みながら本を読むことが日課だった、
その喫茶店にはおじさんが新聞を読んでいたり、老夫婦が耳を傾け合っていたり、
そしてその中に、制服姿の彼女がいた。
いつも僕の斜め前の席に座っている会話も交わした事のない君になぜか親近感すら感じていた。
そして僕がいつものように学校帰り喫茶店で本を読んでいると突然彼女が話しかけてきた、
「何読んでるの?」僕は女性に対して免疫が全くなく、聞こえないふりをして本を読み続けた、
「いつもここにいるのよね!」僕は照れながらうなずいた
「ここ、座っていい?」彼女は僕が座っている場所の向かいの椅子を指さして言った、
僕は恥ずかしがりながらもうなずき彼女の眼を見た、けして綺麗とは言えないが八重歯がかわいい女の子だった。
僕はすぐに本に目を戻した、彼女も本に意識を集中しているようだった。
僕は緊張で本に集中できず、身動きが取れないまま時間は流れた、気が付くと夕方のチャイムが鳴り、
外は黄金色に染まっていた、ふと彼女に目をやると彼女は本を持ったままゆらゆら眠っている、
僕はそっと伝票を持ちレジに向かった、喫茶店の自転車置き場に行き自分の自転車にまたがり喫茶店を後にした。
家に帰っても彼女の事が頭に浮かぶ、こんな無愛想な僕になぜ声なんか?
不思議でしかたなかった、それと同時にすごく嬉しかった。
その日から僕は学校が終わると急いで喫茶店にむかい彼女を待つようになった、
というのも彼女が先にいると恥ずかしくて絶対にその席に着けないと思ったので必ず彼女より先に
店に着かなければいけなかった。
彼女とは相変わらず会話こそ交わさなかったが、僕も徐々に緊張も和らぎ二人で本を読む時間は
僕の毎日の楽しみになっていった。
そんな日が続いたある日、またいつものように彼女の前で本を読んで、夕方になり彼女が帰りの
支度をしはじめ席を立つと、彼女は僕に一通の手紙を差し出した。
僕はそれを受け取り目を丸くして彼女を見た、彼女は照れながら「また来週、ここで」と言い
僕に手を振り足早に店を出て行った、何分ぐらいだろう、僕は手紙を持ったまま動けなかった、
数週間音信不通な僕らの関係に初めて繋がりができたんだ、浮かれながら自宅に帰りすぐさま
自分の部屋に飛び込み手紙の封を開けた。
「 へ
私は○○高校に通ってる小林美紀です、学年は高3で読書が趣味です笑
もしよかったらあなたの事も教えてください、では来週あの場所で」
僕は嬉しさと同時に不安を感じはじめた、というのは僕は小さいころから発声障害があり
ほとんど声が出ない、このことがあって学校では友達がいなく、いつも一人喫茶店で
本を読む事しか楽しみがなくなっていた、だからこの数カ月の楽しい日々を失うのが怖かった、
僕は悩みながらもペンを取った。
「僕は○○高の高3の村越ゆうきです
僕も読書が趣味です。」
結局何枚も何枚も書きなおして削り落されメモ書き程度の文章になってしまった、
何度も言うが僕は極度の照れ屋で女性と手紙のやり取りをするなんて初めてだった。
週があけ、学校帰り喫茶店にむかい彼女を待つ、緊張と不安で店を飛び出しそうだった、
数分して彼女が入ってくる、気づかないふりをして本を睨みつけると
「こんにちわ!」いつもと変わらぬ明るい彼女が僕の前にいた、
僕は本を睨みつけたまま彼女が見れなかった。
彼女に僕の事を知られるのが怖かったんだ、気持ち悪がられたくなかった。
僕はその日、手紙を渡さず黙って先に帰った、
自分でもどうしたらいいかわからなくなっていた。
その日から僕は喫茶店に行かなくなった、もちろん彼女を嫌いになった訳ではない、
あんな別れ方をして合わせる顔など無いに決まってる。
僕は幼いころから病気のせいで内緒話や僕を見る目が何か非難されてるように感じてしまう、
親切すら馬鹿にされてると感じてしまうほどの悲観的人間だ。
僕はどうしようもない後悔に襲われた、なぜあんなことを!?
素直に告白していれば今よりマシな結果になったんじゃないか!?
もう学校に行くのもいやになっていた、外に出たくなかった。
「ゆうきーー!学校行きなさーい」母親の声が廊下まで響いている、
僕は部屋の中で布団にうずくまったまま目を閉じた、母親も僕が学校で馴染めていないことを知っていたのでそれ以上は言わなかった。
何日たっても彼女のことが頭からはなれない、
会いたい会いたい会いたい会いたい
数日たったある日、玄関から母親が喋る声が聞こえる、
なにげなく耳を傾けていると「ゆうきーー、お友達が来てるわよーー」
母親のでかい声に驚き布団から飛び起きた、友達?そんなのいねーよ
そう思いながら階段から下り玄関にむかうとそこには彼女が立っていた、
不思議な光景だった、いろんな疑問が頭を一周したとき彼女が言った「ちょっと、いい?」
気まずそうな顔で問いかける、僕はドキドキしながら黙って外に出て近所の公園にむかった、
「あのね、あたし全部知ってたんだ・・・」
僕は意味がわからなかった、彼女は僕の反応を待たずに
「ゆうきくんの中学のときの同級生がうちの学校にいてね、その子が話してるの聞いて気になって・・・」僕は聞きたくなかった、ボランティアで接してきている相手に恋心を抱いてる自分がみじめだった。
僕は怒りをあらわにその場を飛び出した、もう二度と会いたくないと思った・・・
次の週、学校に退学届を出し僕は家に引きこもるようになった。
もうどうでもよかった、苦しかった人生に追い打ちをかけられたような気分だった、
本を読むたびに彼女を思い出す、本を読むのも苦痛になっていた。
彼女が時々うちを訪ねて来てるのには気づいていたが僕は彼女には合わなかった、
そして数週間が過ぎ、このまま家にいるわけにもいかないと思い工場に働きに出るようになった。
職場では年配の人ばかりで、変な気を使われないのでとても居やすかった、
給料が入ってたくさんの本を買ったが一冊も読まずに溜まっていく一方だ、
読んでるうちに彼女との思い出が蘇り本を閉じてしまう、
それでも僕は本を買いあさっていた。
そしてある日、何気ない仕事帰りに家の前に人影が見える、僕は思わず隠れそっと覗きこんだ。
女の子が家の前で立っている、胃がギューっと縮んで苦しくなた、その子は諦めたようにインターホンに頭を下げこっちにむかって歩いてくる、「やばいっ!」身を縮めて電信柱に隠れた、
「村越くん?」「あたしだよ、中学校で同じだったみさだよ、覚えてる?」
僕はうなずいたが状況が理解できない、
「あのね、まきに村越君の話したのあたしなんだ、ふざけて村越くんの話してたらまき怒って・・・」
もう悪口なんてどうでもよかった、彼女の名前が出るたびに僕は胸が苦しくなるのがわかる
「みき・・・すごい悲しんでたよ、嫌われちゃったって泣いてた・・・」
「僕だっていっぱい泣いたよっ!信じてたのに・・・」心の中で叫んだ、
「あの子ね・・・」彼女はうっすら涙を流していた、僕は自分の感情でいっぱいいっぱいで
彼女の涙がなんの意味か想像すらしなかった
「みき・・・病気だったの・・・元気そうに見えるけど、すごい難病で・・・」
僕は耳を疑った、というよりまだ理解すらできていない
「村越君に会いにいったのは同情なんかじゃないからっ!!きっと村越君にはすごい心を許してたんだと思う!!」
僕はひどい勘違いをしていたんだ、彼女は同情なんかじゃなく僕に心開いてくれたのに!
しかし彼女の一言が僕の心に残る、「難病?」
僕は必死にかすれ声で彼女に聞いた「彼女は?まきちゃんは?!」
うつむいたまま彼女は重い口を開く
「先月亡くなったの・・・」
目の前が真っ白になった
うそだ!!声にならない声で叫ぶ
「彼女ね・・・この手紙大事に取っておいた見たい、病院でだいぶ苦しんだみたいだったからくしゃくしゃになってるけど・・・」
そこにはあの日僕が渡しそびれた手紙があった・・・
「僕は○○高の高3の村越ゆうきです
僕も読書が趣味です。」
くしゃくしゃに丸めてポケットに入れたはずの手紙・・・
おそらく入れ損ねて床にでも落としたんだろう
「なんでこんなもんっ・・・」
「それとこれ・・・ずっと手紙書いてたみたい・・・鈴木君と文通したかったんだと思う」
そこには何通もの手紙があった・・・・
短い思い出だけど、僕にとっては一番大事な思い出だよ
君の手紙を読むたびに喫茶店での事を思い出すんだ
君の前で本を読みたい
君の寝顔が見たい
君の笑顔がみたい
君と会話がしたい
ゆうきより
一日で作ったので少々荒いかもですがこの二人の気持ちはしっかりわかっていただける作品だと思います、どうもすずしんでした。