第56話 騒動から数日後
マシュラの襲撃から数日後。
現在の状況を説明しよう。
まず魔王城について。
破滅衝撃によって城は半壊してしまい、現在魔王軍全体で復旧作業に入っている。
城の復旧には最低でも3年ほどかかるそうだ。
次は魔王ホーエムについて。
ホーエムはマシュラとの戦闘で下半身を失うほどの重傷を負っていた。
しかし、奇跡的に心臓は動いており、現在医療隊が全力で治療中とのこと。
今はまだ意識不明だが、問題なく治療が進めば意識を取り戻すだろうという話だ。
破滅衝撃に巻き込まれた魔王城の兵士達は百単位ほどいたそうで、そのうちの何十人かが、残念ながら亡くなってしまったという。
アルスさんとリエナは無事だった。
瓦礫の山から救出された時は意識不明、骨折、瓦礫の破片が身体に刺さるという恐ろしい状態であったが、奇跡的に助かった。
ーーー
「もう行くのですね」
スキャルが城下町の入口の門で待っていた。
「ああ。悪いな。
急いでるもんで」
「構いませんよ。
後のことは私たちで対応します」
襲撃から数日が経ち、アルスさんとリエナの治療も終わった。
しばらくはここに残って復旧作業を手伝いたかったが、手紙の主を待たせるわけにはいかないので、このまま出発する事になった。
「バルザック」
門から出た後、スキャルがバルザックを呼び止めた。
バルザックは振り向き「なんだ?」と言った。
スキャルは少し間を置いて言った。
「お気をつけて」
バルザックはその言葉を聞き、ふっ…と少し笑った。
「ああ。じゃあな」
ーーー
さて、ここから天空塔までに行く方法だ。
今更の話だが、天空塔はその名の通り、天空にある島に立つ塔だ。
空に浮く島まで、どうやって行くかの話。
マナの話によると、昔の人はある物を使って天空塔に行っていた記録があるという。
魔族領の端っこの端にある遺跡。
そこには、天空塔に行くための転移の魔法陣があるそうだ。
ただこの魔法陣は、いつからそうなっていたのか、魔力を流してもうんともすんともいわないという話。
それなら行く意味あるのかなと思ったが、マナから「行く手段がそれしか無い以上仕方ないわ。もしダメだったら手紙の主に文句いうわ」と答えた。
…それにしても、いよいよ手紙の主と出会えるのか。
一体誰なのか。
あの時テラスさんと会話した記憶では、天空塔には神人族がいるという。
手紙の主は神人族なのだろうか。
それとも…。
第7章 最後の破滅 完




